日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
カプセル内視鏡とダブルバルーン小腸内視鏡が術前診断に有用であった空腸消化管重複症の1例
辻 宏和熊谷 将史稲田 悠記小林 雅子今川 健久大竹 由美子廣瀬 宏一
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2014 年 56 巻 3 号 p. 457-464

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抄録

症例は78歳男性.以前より鉄欠乏性貧血にて鉄剤が投与されていた.非回転性眩暈が出現し,消化管出血によるショックの診断にて入院となった.カプセル内視鏡検査(CE)にて上部空腸に輪状潰瘍を指摘し,経口的ダブルバルーン内視鏡検査(DBE)を施行したところ,上部空腸に入口部に潰瘍を伴う憩室を認め,治療として小腸部分切除術を施行した.病理学的には憩室は隣接する本来の消化管から連続した粘膜と筋層を有しており空腸消化管重複症と診断した.消化管重複症はMeckel憩室とともに真性憩室であり,仮性憩室も含めて術前診断が困難であるが,CEとDBEとの併用にて空腸憩室症と診断しえた1例を経験したので報告する.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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