2014 年 56 巻 5 号 p. 1780-1787
症例は91歳,女性.主訴は嘔吐.上部消化管内視鏡検査・腹部CT検査・上部消化管造影検査で食道裂孔ヘルニアに間膜軸性の胃軸捻転を伴ったupside down stomachと診断した.外科的治療が困難であったため内視鏡的治療を選択した.胃体部~前庭部と横行結腸が縦隔内に脱出していたため,大腸内視鏡で横行結腸を腹腔内に還納し,上部消化管内視鏡で胃軸捻転を整復した上で,経皮内視鏡的胃瘻造設術による胃壁前壁固定を施行した.治療後1年8カ月経過しているが症状の再発を認めていない.
横行結腸の縦隔内脱出を伴うupside down stomachの症例は,本邦においてこれまですべて外科的治療が施行されており,内視鏡のみで治療された症例はないため報告した.