日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
バルーン内視鏡を用いた大腸内視鏡挿入法のコツ
竹澤 敬人矢野 智則砂田 圭二郎山本 博徳
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キーワード: BAE, DBE, SBE, 挿入困難, 大腸内視鏡
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2014 年 56 巻 6 号 p. 2000-2010

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抄録

食生活の欧米化に伴い,日本でも大腸癌の患者数が増加している.同時に大腸内視鏡の需要も増加している.内視鏡機器の発達に伴い,以前に比べると全大腸観察率は向上している.しかし様々な原因で全大腸を観察できないことも多々ある.そのような時に有用なのがバルーン内視鏡(Balloon-assisted endoscopy:BAE)である.BAEには,ダブルバルーン内視鏡(Double-balloon endoscopy:DBE)とシングルバルーン内視鏡(Single-balloon endoscopy:SBE)がある.BAEは,深部小腸の観察をする目的で開発された.DBEとSBEは,大腸内視鏡に応用することができる.当院ではほとんどの症例をDBEで行っている.DBEでは行う前の準備がまず大切である.DBEとして使用できるスコープは3種類あるが,EI-530Bを用いることが多い.DBEの挿入原理を理解したうえで施行すると,S状結腸癒着症例などの挿入困難例で,より有用性は高くなる.オーバーチューブが腸管を把持してくれるため,それ以上の腸管の伸展を防ぐことができ,内視鏡のシャフトに加えた力を効果的に内視鏡先端に伝えることができる.そして患者さんの苦痛を軽減することを可能にしている.また,内視鏡の安定した操作性を得られるので,内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)等の内視鏡治療においても非常に有用である.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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