日本消化器内視鏡学会雑誌
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日本の多施設による悪性胃十二指腸閉塞に対するWallFlex duodenal stentの評価
佐々木 隆伊佐山 浩通前谷 容中井 陽介木暮 宏史川久保 和道水野 卓八木岡 浩松原 三郎伊藤 由紀子山本 夏代笹平 直樹平野 賢二辻野 武戸田 信夫多田 稔小池 和彦
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2014 年 56 巻 6 号 p. 2011-2018

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抄録

【背景・目的】本後ろ向き研究では,悪性胃十二指腸閉塞に対するWallFlex duodenal stentの有効性と安全性を評価した.【方法】2010年1月から10月までに,症候性の悪性胃十二指腸閉塞を認めた42例に対してWallFlex duodenal stentを用いて治療を行った.【結果】手技成功率および臨床的成功率はそれぞれ100%と83.3%であった.Gastric outlet obstruction scoring system(GOOSS)中央値は,ステント留置によって0から2と増加した(p<0.01).生存期間中央値は3.3カ月(95%信頼区間:1.8-6.0カ月)で,摂食可能期間中央値は3.0カ月(95%信頼区間:1.1-4.3カ月)であった.Re-interventionは11例(26.2%)に必要であった.また偶発症率は26.2%であった.主な偶発症は,tumor ingrowth(9例;21.4%)およびtumor overgrowth(1例;2.4%)によるステント閉塞(全体:23.8%)であった.ステント逸脱,消化管穿孔,ならびにステント閉塞を伴わない食残閉塞は認められなかった.ステント閉塞を認めた患者の生存期間中央値は11.7カ月(95%信頼区間:2.2カ月-not reached)で,ステント開存期間中央値は4.0カ月(95%信頼区間:0.8-4.7カ月)であった.これらの患者はステントの追加にて良好に治療可能であった.【結論】WallFlex duodenal stentを用いた十二指腸ステント留置は,悪性胃十二指腸閉塞に対して安全で有効な治療であった.本ステントはuncovered metallic stentであるため,主な問題点は,tumor ingrowthによるステント閉塞であった.しかしながら,閉塞したステントもステントを追加留置することによって良好に治療可能であった.

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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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