2014 年 56 巻 8 号 p. 2416-2423
内視鏡的膵管口切開術(EPST)の適応は,5~6mm以下の小結石,浮遊結石やESWLにより破砕された膵石除去である.方法は胆管切開後に膵管口を切開する方法と膵管口をそのまま切開する方法がある.胆管切開をはじめに行っておくと,乳頭浮腫による一過性の胆管閉塞状態を避けることができる.胆管切開を行わない方法は,胆管切開を行う時間の短縮と,胆管切開後の膵管口の同定困難や開口部変形による挿入困難はなく,初級者でも確実に行える.内視鏡的膵石除去術はEPSTを行った後に,採石用バスケットをガイドワイヤー誘導下に膵管内に挿入し,結石を越えた部位で膵管壁を傷つけないよう中程度開き,愛護的に除去していく.EPSTの偶発症としては出血,急性膵炎,穿孔が主なもので,それぞれの予防方法と対策を解説した.膵石症に対する内視鏡治療は,良好な成績と安全性が確立されているが,限界があるため,時機を逃すことなく,外科治療への移行も考慮する必要がある.