日本消化器内視鏡学会雑誌
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56 巻, 8 号
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総説
原著
  • 平澤 俊明, 比企 直樹, 山本 頼正, 石山 晃世志, 由雄 敏之, 土田 知宏, 藤崎 順子, 五十嵐 正広, 山本 智理子
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2359-2366
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】胃粘膜下腫瘍(SMT)に対する腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery:LECS)の報告が散見されるようになった.今回,噴門部胃SMTに対するLECSの安全性,有用性を検討した.
    【方法】2006年6月より2013年4月にLECSを施行した噴門部胃SMT15例の患者背景,病変の臨床像,手術成績,術後経過を検討した.
    【結果】平均腫瘍径は3.5cm,食道胃接合部(EGJ)における腫瘍の周在性は1/2周未満が11例,1/2周以上が4例であった.EGJの周在性が1/2周以上の4例ではLECSを完遂できずに,術式を変更した.LECS完遂例では合併症を認めなかったが,LECS非完遂の3例は縫合不全,腹腔内膿瘍,吻合部狭窄の合併症を認めた.
    【結論】EGJの周在性が1/2周未満の噴門部胃SMTに対してLECSは有用である.
症例
  • 岡田 治彦, 佐藤 雅彦, 尾崎 麻子, 山田 正樹, 石戸 保典, 齋藤 徹也, 根上 直樹, 渡部 英, 伴 慎一
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2367-2372
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.大腸癌の術前検査で行った上部消化管内視鏡検査で食道胃接合部に黄色腫を指摘された.15mm大で隆起が高く腫瘍性病変も疑い生検を行うも黄色腫の診断で,その後も経時的に生検を行ったが悪性の診断は得られなかった.3年後の内視鏡で施行したNBI拡大観察で悪性所見を認め生検でも腺癌と診断された.黄色腫を認めた場合でも典型的でなく腫瘍性病変の可能性を疑った場合には積極的にNBI併用拡大観察を行うことが有用であると考えられた.
  • 辻 国広, 竹村 健一, 吉田 尚弘, 辻 重継, 山田 真也, 津山 翔, 車谷 宏, 土山 寿志
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2373-2378
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性.近医の上部消化管内視鏡検査で食道粘膜下腫瘍を指摘され,当院に紹介された.本人の自覚症状はなく,内視鏡検査では切歯から28cmの食道前壁側に馬蹄型の粘膜下腫瘍を認め,胸部造影CT検査では同部位と一致して34×18mm大の石灰化した病変を認めた.上記に対して粘膜切開直視下生検を行い,病理組織所見より食道平滑筋腫と診断した.無症状で腫瘍径も大きくないことから,現在無治療経過観察中である.びまん性の石灰化を伴う食道平滑筋腫は稀な疾患であり,術前に診断が確定していた報告は少ない.粘膜切開直視下生検は診断に有用な可能性があり,今回報告する.
  • 宮澤 正樹, 松田 充, 織田 典明, 原 泰将, 在原 文教, 堀田 洋介, 松田 耕一郎, 酒井 明人, 野田 八嗣
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2379-2385
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    81歳男性.食思不振を契機に施行した上部消化管内視鏡にて3個の大型胃石を認めた.柿の摂食習慣があったことから柿胃石と判断し,コーラ溶解療法ならびに把持鉗子,ポリペクトミースネア,胆石クラッシャーカテーテルなどを用いた内視鏡的破砕術を施行したが無効であった.2チャンネル内視鏡を使用し,片方のチャンネルから挿入したポリペクトミースネアで胃石を絞扼・固定しながら,他方のチャンネルから挿入した把持鉗子を押し込むことで胃石が鈍的に破砕され,すべての胃石を回収し得た.この手法は,通常内視鏡を用いた破砕術が有効でない症例であっても,2チャンネル内視鏡があれば施行可能であり,非常に有用と考えられた.
  • 種本 理那, 竹林 晃一, 岡田 千津子, 三谷 圭二, 小針 伸一, 箱崎 幸也, 奥平 圭輔
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2386-2392
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.他院での人間ドックで胃アミロイドーシスが疑われ紹介受診した.胃内視鏡検査で胃体中部の前壁小彎寄りに約5×3cm大の境界明瞭な陥凹性病変を認め,生検にてアミロイド沈着(AL型)が確認された.PET-CT検査を含む諸検査で胃以外にアミロイド沈着は認められず,胃限局・陥凹型(IIc+IIa型類似)のアミロイドーシスと診断した.6年前の他院での見直しの胃内視鏡や生検像でも同様の病変が認められた.6年間病変の進展がみられなかった胃限局性の陥凹型アミロイドーシスの一例を経験したので,文献的考察も含めて報告する.
  • 高嶋 志保, 岩室 雅也, 稲葉 知己, 中村 聡子, 泉川 孝一, 石川 茂直, 和唐 正樹, 河合 公三, 岡田 裕之, 山本 和秀
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2393-2399
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.健診の便潜血検査で陽性となり,初回の下部消化管内視鏡検査を施行したところ,上行結腸に35mm大の粘膜下腫瘍の形態を呈する隆起性病変を認めた.生検病理組織では小型リンパ腫細胞の密な浸潤を認め,免疫組織染色にて濾胞性リンパ腫と診断した.リンパ節病変が横隔膜を越えて認められ,病期はLugano分類IV期であった.治療はrituximab併用CHOP(cyclophosphamide,doxorubicin,vincristine,prednisone)療法を6コース行い,一時は寛解したものの,腸間膜病変の増悪を認め,bendamustine療法を行った.
  • 三長 孝輔, 岩上 裕吉, 山下 幸孝, 谷口 洋平, 幡丸 景一, 中谷 泰樹, 赤松 拓司, 瀬田 剛史, 浦井 俊二, 上野山 義人
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2400-2406
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    症例は82歳女性.発熱,下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.2カ月前に当院婦人科にて卵管卵巣膿瘍に対して両側付属器及び子宮摘出歴があった.腹部CT検査で膀胱直腸間に膿瘍形成があり,当科に加療依頼となった.膿瘍は遠位S状結腸~直腸と接していたため,超音波内視鏡下に膿瘍を直腸壁から19G EUS-FNA針で穿刺し外瘻チューブを留置した.翌日より解熱し,1週間後のCTで膿瘍の著明な縮小が得られ内瘻化した.内瘻ステントは2週間後に自然脱落したが1カ月後のCTで膿瘍は消失していた.骨盤内膿瘍のドレナージ法として本法は低侵襲に施行でき患者のQOLも維持されることから有用な治療選択肢となり得ると考えられたため報告する.
経験
  • 田畑 拓久, 小泉 浩一, 桑田 剛, 藤原 純子, 荒川 丈夫, 高橋 慶一, 山田 侑子, 堀口 慎一郎, 神澤 輝実, 門馬 久美子
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2407-2413
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    閉塞性大腸癌では同時多発癌の頻度が高いとの報告があり,手術に際しては深部大腸に関する正確な術前評価が望まれる.2012年に大腸ステント治療が保険収載されたことにより,閉塞性大腸癌に対するBridge to surgery(BTS)が本邦でも広く行われるようになった.われわれはBTS目的に大腸ステント治療を行った閉塞性大腸癌5例に対し,術前に細径化大腸用スコープを用いて深部大腸の観察を行った.5例中3例に同時多発癌の存在を認め,手術時に同時切除が可能であった.大腸ステント治療後の内視鏡的な深部大腸観察は生検や点墨が可能であり,同時多発癌などの併存病変の術前診断や切除範囲の決定に有用で,その臨床的意義は極めて大きいものと考えられた.
注目の画像
手技の解説
  • 山本 智支, 乾 和郎, 芳野 純治, 三好 広尚
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2416-2423
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    内視鏡的膵管口切開術(EPST)の適応は,5~6mm以下の小結石,浮遊結石やESWLにより破砕された膵石除去である.方法は胆管切開後に膵管口を切開する方法と膵管口をそのまま切開する方法がある.胆管切開をはじめに行っておくと,乳頭浮腫による一過性の胆管閉塞状態を避けることができる.胆管切開を行わない方法は,胆管切開を行う時間の短縮と,胆管切開後の膵管口の同定困難や開口部変形による挿入困難はなく,初級者でも確実に行える.内視鏡的膵石除去術はEPSTを行った後に,採石用バスケットをガイドワイヤー誘導下に膵管内に挿入し,結石を越えた部位で膵管壁を傷つけないよう中程度開き,愛護的に除去していく.EPSTの偶発症としては出血,急性膵炎,穿孔が主なもので,それぞれの予防方法と対策を解説した.膵石症に対する内視鏡治療は,良好な成績と安全性が確立されているが,限界があるため,時機を逃すことなく,外科治療への移行も考慮する必要がある.
資料
  • 深瀬 和利, 武田 弘明, 上野 義之
    2014 年 56 巻 8 号 p. 2424-2429
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/08/27
    ジャーナル フリー
    【背景】山形県では消化器治療内視鏡隆盛の時代に対応すべく,1991年から山形県消化器治療内視鏡研究会が立ち上げられ,同時に消化器治療内視鏡のアンケートを行った.【方法】山形県内の各医療機関から集積された1990年から2009年までの20年間のデータを解析した.【結果】山形県における消化器治療内視鏡の総件数は,1990年から2009年までの20年間で4.0倍に増加した.2009年において件数の多かったものは,下部消化管EMR4,724件,消化管止血術1,346件,PEG1,252件であった.件数の増加率の高かったものは,内視鏡的胆管結石除去術20.7倍,上部消化管ESD15.7倍,ERBD15.6倍であった.【結論】東北の一地方県である山形県においても,消化器治療内視鏡は一般化し,多くの施設で様々な治療手技が施行されるに至った.
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