抄録
症例は92歳女性.貧血による労作時呼吸苦で入院し,消化管出血の精査目的で施行した造影CTで上部空腸に動脈相で濃染する小病変を認め,カプセル内視鏡でも同部位に血性腸液の貯留を認めた.ダブルバルーン内視鏡を施行し,上部空腸にoozingを呈する径5mmの発赤調の隆起性病変を認め,血管腫が疑われた.内視鏡的粘膜切除術を施行したところ,切除断端から拍動性出血を認めたが,内視鏡的止血術が可能であった.その後,貧血は改善を認め,再出血を認めなかった.病理組織検査では動静脈奇形という術前と異なる診断であったが,内視鏡的治療が可能であった.ダブルバルーン内視鏡によって診断・治療した小腸動静脈奇形は稀であるため報告する.