抄録
われわれは,ESD後の穿孔予防にポリグリコール酸シート・フィブリン糊併用法を考案し,胃ESD術中の巨大穿孔や十二指腸ESD後の遅発性穿孔の治療や予防にも応用し良好な結果を得ている.ポリグルコール酸シートを潰瘍底に貼付し,フィブリノゲンを潰瘍底とシートの間に注入した後にトロンビンをシート内に散布する方法である.クリップ縫縮術に比し簡便な方法ではあるが,手技にはいくつかのポイントがある.潰瘍底に付着する血液を十分に洗浄すること,体位変換してシートを貼付しやすくすること,潰瘍底に押し付けながらシートを重ならず貼付すること,潰瘍底にできるだけシートを密着させること,フィブリノゲンをシートと潰瘍底の間に染み渡るように少量ずつゆっくり注入すること,シートに対してできるだけ垂直にチューブを当てること,フィブリノゲンをシートの上部に散布しないようにすることなどが重要である.