抄録
症例は81歳女性.大腸内視鏡にて肛門に不整な陥凹面を認めた.NBI拡大内視鏡で陥凹内は食道表在癌におけるIPCLと類似した異型血管を認め生検で扁平上皮癌疑いとなり精査加療目的のため入院となった.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行し0-IIc型の扁平上皮内癌であった.肛門管癌は臨床的に経験することが少ない疾患であり上皮内癌の状態で発見されることは稀である.本症例は画像強調内視鏡を用い早期診断が可能であった.また,ESDにて完全一括切除を行うことにより検体の詳細な評価が可能であり低侵襲に治療できたと考えられた.
肛門管癌の早期診断,早期治療に画像強調内視鏡,ESDが有用であると考えられたため報告する.