抄録
症例は67歳,男性.肝機能異常の精査目的に施行した腹部CTで骨盤内に25mm大の腫瘍を指摘された.CTおよびMRIで,病変は直腸前壁に接しており,直腸壁への浸潤に関しては判断困難であった.PET-CTではFDG集積は軽度であった.EUSでは,ほぼ均一な低エコーな腫瘍として描出され,直腸とは離れており,体位変換による可動性が確認された.デスモイド腫瘍を疑い,EUS所見にて,予定していた直腸低位前方切除術からより低侵襲の経会陰式腫瘍切除術へ変更した.病変は完全切除され,病理組織診断はデスモイド腫瘍であった.EUSが術前診断と適切な術式選択に有用であった.