2015 年 57 巻 2 号 p. 119-127
【目的】中枢性α2受容体作動薬であるデクスメデトミジン(DEX)のERCP鎮静における安全性と有効性を後方視的に検討した.【対象】ERCPの鎮静にミダゾラム,ペンタゾシンの適宜投与に加えてDEXを使用した86症例(DEX群),およびDEX非使用の112症例(従来法群).評価項目は偶発症頻度,鎮静薬の使用量および循環動態変化とした.【成績】SpO2低下の頻度はDEX群で有意に低下し(3.5% vs 11.6%,p=0.04),呼吸抑制による検査中止例が従来法群では3例に認めた一方,DEX群では1例も認めなかった.ミダゾラム,ペンタゾシンの平均使用量はDEX群で有意に少なかった(p<0.001).血圧及び心拍数は,DEX群で有意に低下を認めたが,カテコラミンを使用した症例は認めなかった.【結論】DEXの使用は呼吸抑制作用を有する他の鎮静薬の追加投与量を抑制し,ERCPの安全な鎮静に有用である.