日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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症例
著明な下部消化管浸潤をきたした血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の1例
西 潤子森下 祐子宮瀬 志保原岡 克樹大内田 義博藤山 重俊鈴島 仁伊藤 隆明
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2015 年 57 巻 2 号 p. 154-158

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抄録
症例は77歳の男性.体重減少とタール便を主訴に来院した.上部内視鏡検査で十二指腸球部から下行脚に潰瘍と多数のびらんを認めた.腹部造影CT検査では直腸から下行結腸の著しい壁肥厚とリンパ節腫大,腹水を認め,FDG-PET検査でも同部に集積を認めた.下部消化管内視鏡検査で,直腸からS状結腸の粘膜は浮腫状でびまん性の発赤とびらんを認めた.S状結腸の生検標本で粘膜内にT細胞リンパ腫の腫瘍細胞が認められ,そけいリンパ節生検にて血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)と診断された.AITLは成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL/L)と異なりリンパ節外病変は少ないとされるが,本症例はATL/L同様に著明な下部消化管浸潤を呈していた.
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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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