日本消化器内視鏡学会雑誌
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原著
ESD後潰瘍の被覆法としての,フィブリン糊とポリグリコール酸シートの併用法に関する基礎的検討
竹川 佳孝鷹尾 俊達小野 裕之
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2015 年 57 巻 4 号 p. 1150-1157

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抄録

【目的】ESD後潰瘍をフィブリン糊とポリグリコール酸シート(PGAシート)で被覆する手技が,偶発症予防に期待されている.本研究では,当該手技を実施するにあたり,良好な被覆を達成するための条件を検討した.
【方法】ブタ摘出胃で作成した潰瘍からPGAシートを引き剥がす際の最大抗張力を測定した.接着の手順,臨床上曝される可能性のある液体へのPGAシートの曝露,接着対象を変えて検討した.
【結果】標準的な貼付法として設定した第1群の平均抗張力は1.78Nであった.一方,PGAシートがゼリー,胃粘液,唾液に曝された第5,6,7群では0.36N,0.32N,0.53Nと有意に低値であった(p<0.05).また,粘膜上皮に接着させた第8群でも0.19Nと有意に低値であった(P<0.01).
【結論】当該手技においてはPGAシートを粘性の高い液体に曝さず,被覆範囲を潰瘍内に留めることが重要であることが示された.

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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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