日本消化器内視鏡学会雑誌
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57 巻, 5 号
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総説
  • 千野 修, 幕内 博康, 島田 英雄, 小澤 壯治, 中村 直哉, 今井 裕
    2015 年 57 巻 5 号 p. 1243-1253
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    表在型食道扁平上皮癌について本邦における内視鏡検査を中心とした腫瘍形態学と深達度診断の現状について述べた.食道表在癌は深達度によって病態が異なるため,治療方法を選択する上で深達度診断は最も重要である.食道癌は予後不良な癌腫であるが,標準的外科治療である食道亜全摘術は手術侵襲が高度でありQOL低下が危惧される.しかし,早期食道癌として発見されEMR・ESDが施行できれば低侵襲な食道温存治療として根治できる可能性が高い.深達度診断においては通常内視鏡観察による形態学的診断が基本となるが,画像強調であるnarrow band imaging(NBI)を併用した拡大内視鏡検査と日本食道学会拡大内視鏡分類による微細血管分類,超音波内視鏡検査や食道X線造影検査を施行することにより総合的に深達度診断を行うことが正診率向上のために重要である.
原著
  • 植木 亨, 友田 健, 名和 徹, 藤澤 智雄, 小林 沙代, 里見 拓也, 遠藤 久之, 藪下 和久, 下江 俊成, 坂口 孝作
    2015 年 57 巻 5 号 p. 1254-1259
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)において,2012年改定のガイドラインで推奨している抗血小板薬非休薬下での処置の安全性については本邦からの報告は認めない.そこで,抗血小板薬の非休薬例における,膵疾患に対するEUS-FNAの出血性偶発症について検討する.【方法】対象は2010年10月から2014年2月に当院で膵疾患に対して診断的EUS-FNAを施行した154例で,血栓塞栓症高リスク例ではアスピリン(ASA)およびシロスタゾール(CLZ)は継続としたところ,抗血栓薬の非服用群は118例(76.6%),休薬群16例(10.4%),非休薬群20例(13.0%)であった.これらの3群間での出血性偶発症について検討した.【結果】術中出血については,管腔内や膵周囲への軽微な出血を,非服用群3例(2.5%),休薬群0例(0%),非休薬群1例(5.0%)に認めたが有意差なく,術後出血は各群に1例も認めなかった.【結論】ASAやCLZ単剤であれば非休薬のままでも,膵疾患に対するEUS-FNAは出血性偶発症の増加を認めず安全に施行可能と考えられた.
症例
経験
  • 湯村 崇之, 森 昭裕, 蜂谷 紘基, 伊藤 隼, 林 晋太郎, 澁谷 高志, 伏見 宣俊, 大橋 憲嗣
    2015 年 57 巻 5 号 p. 1291-1295
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    経鼻内視鏡を硬いガイドワイヤーで補助することにより近位空腸まで挿入する方法を開発した.経鼻内視鏡の鉗子孔から硬いガイドワイヤーを先端より約20cmまで挿入すると,それより末梢側は柔軟で中枢側は硬い内視鏡となり簡易的な先端受動湾曲機能を持つ硬度可変式内視鏡様になり先進性が向上する.この方法で透視下に到達部位を確認しえた17症例を検討したところ16例(94%)で空腸内挿入に成功した(挿入時間中央値は290秒).重篤な鼻出血,鼻痛ほか偶発症なく安全に施行可能であった.本法はカプセル内視鏡やバルーン内視鏡への橋渡し検査として有用と考えられ,深部十二指腸や近位空腸の新しい検査法となりえる.
手技の解説
  • 杉山 宏, 吉田 健作, 足達 広和, 中川 貴之, 安田 陽一
    2015 年 57 巻 5 号 p. 1296-1311
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/29
    ジャーナル フリー
    前処置不良下で行う通常内視鏡では大腸憩室出血の診断は困難である.高率に診断するためには洗腸と透明フードが不可欠である.病歴,薬剤歴,直腸診所見から憩室出血を疑ったらまず造影CTを行い,そして速やかに洗腸し,フードを装着した内視鏡を行う.フードを憩室周囲に軽く押し当て憩室を吸引,反転することで内部の観察ができる.また,フードを憩室周囲に軽く押し当てたまま鉗子孔より水を注入すると,非責任憩室では内部に凝血塊や血液があっても洗浄にて容易に除去されるが,責任憩室では容易には除去されず,鑑別できる.露出血管を有するびらんを認めた憩室が責任憩室である.憩室出血の止血には組織傷害が軽微なクリップ法を第1選択にすべきである.クリップ法ではできるだけクリップにて露出血管を把持するように試みる.循環状態が不良で洗腸が困難な重症例や,内視鏡的止血術の抵抗例にはIVRが有効であるが,偶発症に注意が必要である.
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