抄録
症例は83歳,女性.血便精査目的に下部消化管内視鏡検査を施行したところ,下部直腸に茶褐色調の亜有茎性ポリープを認めた.悪性黒色腫の可能性も考慮し,全生検による診断目的にEMRを施行した.免疫組織化学を含む病理組織学的検査で悪性黒色腫と診断された.転移病巣を認めないことを確認した後,EMRから2週間後には腹会陰式直腸切断術を行った.手術標本に腫瘍遺残,リンパ節転移は認めなかった.術後2年6カ月経過した現在も無再発生存中である.直腸肛門部悪性黒色腫は頻度が低く,診療指針の標準化が未だ行われておらず,本報告を含め症例の蓄積が期待される.