日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
膵管ステントの現状と展望
伊藤 謙五十嵐 良典三村 享彦岸本 有為原 精一宅間 健介岡野 直樹
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2015 年 57 巻 7 号 p. 1457-1466

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抄録
慢性膵炎は主膵管の狭窄を伴うことで,膵管内圧の上昇に由来する慢性的な疼痛の原因となる難治性進行性疾患である.このような症例は膵管減圧により症状の改善を認める事が多く,約30年前に富士らによって内視鏡的膵管ステント留置術(endoscopic pancreatic stenting:EPS)が世界に発信された.以前は臨床研究であったが,本邦でもEPSが2012年4月より保険診療として認可されたことにより,広く普及するようになった.10Fr膵管ステントを長期留置し狭窄の改善に抵抗を示す症例に対しては複数本のステント留置も報告されている.また,超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-fine needle aspiration(FNA))を応用したEUSガイド下膵管ドレナージ(EUS-guided pancreatic duct drainage:EUS-PD)や,膵管ステントの治療効果を向上させるべく,強い拡張効果を持つ自己拡張化型金属ステントを用いた治療も報告されるようになっており,近年膵管ステントにおいても新たな展開を認めている.本稿では,膵管ステントの現状と展望について述べる.
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© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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