日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
バルーン内視鏡を用いた治療が有用であった膵管空腸吻合部閉塞を来した1例
井上 雅文木村 拓也平川 富夫加藤 恭郎前 孝仁瓜生 恭章杉田 博二浅野 耕吉原田 博雅
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 57 巻 8 号 p. 1623-1629

詳細
抄録

症例は82歳の男性,IPMNにて膵頭十二指腸切除術(PD-2A-2,D1)を施行後3カ月目に逆行性胆管炎によるDICを発症.保存的加療後の食事再開にて血清アミラーゼ値上昇を認め,精査により残膵の主膵管拡張と,これに連続する空腸壁内液貯留を認めた.膵管空腸吻合部閉塞と診断し,シングルバルーン内視鏡を挿入して観察したが吻合孔を確認できなかった.粘膜隆起部を穿刺・造影して主膵管を同定した.空腸粘膜を切開し,膵管空腸吻合部を切開・バルーン拡張した後に膵管ステントを留置した.食事再開による血清アミラーゼ値上昇は認めず軽快退院した.消化管再建後の症例では,バルーン内視鏡を用いたERCPが吻合部への到達を可能とし,膵管空腸吻合部狭窄には切開術及び拡張術が有用であった.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top