2015 年 57 巻 8 号 p. 1623-1629
症例は82歳の男性,IPMNにて膵頭十二指腸切除術(PD-2A-2,D1)を施行後3カ月目に逆行性胆管炎によるDICを発症.保存的加療後の食事再開にて血清アミラーゼ値上昇を認め,精査により残膵の主膵管拡張と,これに連続する空腸壁内液貯留を認めた.膵管空腸吻合部閉塞と診断し,シングルバルーン内視鏡を挿入して観察したが吻合孔を確認できなかった.粘膜隆起部を穿刺・造影して主膵管を同定した.空腸粘膜を切開し,膵管空腸吻合部を切開・バルーン拡張した後に膵管ステントを留置した.食事再開による血清アミラーゼ値上昇は認めず軽快退院した.消化管再建後の症例では,バルーン内視鏡を用いたERCPが吻合部への到達を可能とし,膵管空腸吻合部狭窄には切開術及び拡張術が有用であった.