2016 年 58 巻 1 号 p. 10-14
症例は53歳男性.下部消化管内視鏡検査にて,終末回腸に3mm程度の黄色調の粘膜下腫瘍を認め,生検にてNETと診断された.造影CT,FDG-PET及び小腸内視鏡検査では,同時多発病変や転移性病変は明らかではなく,回腸NET(cT1,N0,M0,cStageI)と診断し,回腸部分切除および3群リンパ節郭清を施行した.術後病理所見にて回腸NET G2と確定診断した.また,病変は3mm大であったが,脈管侵襲を認め,主リンパ節である回結腸根リンパ節(#203)にリンパ節転移を認めた.回腸NETの治療は,病変の大きさに関係なくリンパ節郭清を含めた腸管切除が望ましいと考えられた.