2016 年 58 巻 1 号 p. 15-19
症例は50歳,男性.右下腹部痛を主訴に近医を受診し,同日,虫垂炎の疑いで当院救急外来を紹介受診された.腹部CT検査にて盲腸の脂肪腫が原因と考えられる腸重積の所見を認め,緊急大腸内視鏡検査を施行した.上行結腸に腸重積の先進部と考える粘膜下腫瘍を認め,内視鏡的に整復を行った.さらに腸重積の再発を回避する目的で,引き続き内視鏡的開窓術(endoscopic unroofing;EU)を施行した.今回,脂肪腫による腸重積の整復後に,条件が整えば一期的なEUが選択肢となりうる症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.