2016 年 58 巻 10 号 p. 2201-2210
本邦でも大腸ステントが2012年から使用可能となった.大腸ステントの導入で,緩和治療ではストーマ造設を避けることができる.また閉塞性大腸癌の外科治療としても,術前大腸ステント治療Bridge to surgeryで緊急手術を回避し,術前に十分な減圧が得られるため,全身状態の改善を待って安全な一期的切除吻合が行える事で,大腸癌の根治性と手術安全性が両立した治療となる.大腸ステントの有用性は広く報告されているが,そのためには十分に安全に留意した手技が必須である.本稿では手技の実際や,安全な手技のコツなどについて述べた.安全のために最も重要なのは適切な適応の判断であり,炎症の強い症例や切迫破裂の症例は避けなければならない.日本消化器内視鏡学会関連研究会である大腸ステント安全手技研究会のホームページに示されたミニガイドラインも安全な手技施行の参考となる.