日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
印環細胞癌を伴った早期大腸粘液癌の1例
中條 恵一郎長南 明道松田 知己山岡 肇佐藤 俊三宅 直人三島 利之石橋 潤一中堀 昌人遠藤 希之
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2016 年 58 巻 4 号 p. 983-990

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抄録

症例は75歳,男性.大腸内視鏡検査で横行結腸に10mm大の頂部に不整形陥凹を伴う立ち上がりがなだらかな粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.陥凹内はI型様の類円形pitやIIILに類似したpitから構成されていた.生検で間質に粘液貯留を伴う印環細胞癌を認め,腹腔鏡下横行結腸切除術を施行した.病理組織学的には陥凹部に一致して低異型度の分化型管状腺癌が粘膜層を中心に増殖し,粘膜層から粘膜下層にかけて印環細胞癌が広く浸潤していた.また粘膜下層では粘液が貯留していた.最終病理診断は,adenocarcinoma(muc>sig>tub1),pT1(SM),ly2,v1,pN0であった.術後1年1カ月を経て再発転移は認めていない.印環細胞癌を伴った早期大腸粘液癌の報告例は少なく,報告した.

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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