2017 年 59 巻 11 号 p. 2575-2591
胆管狭窄は日常診療でしばしば遭遇する病態であり,良悪性の鑑別が求められる.胆道癌と術前診断され,外科手術を施行した症例の3~17%は術後病理組織学的検索で良性であったと報告されている.良性胆管狭窄の原因としては,原発性硬化性胆管炎(PSC),IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC),術後胆管狭窄が多いが,その他様々な原因による続発性硬化性胆管炎や原因不明の非特異的胆管炎も存在する.胆管狭窄に遭遇した場合,まず良性か悪性か,次に良性とすればIgG4-SCか否かを鑑別することが治療方針を決定する上で重要である.しかし各種画像診断や生検・細胞診を駆使しても良悪性の鑑別が困難で外科手術を余儀なくされる症例があることを念頭に置く必要がある.