日本消化器内視鏡学会雑誌
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難治性食道良性狭窄に対するステント留置の治療成績
小熊 潤也小澤 壯治
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2017 年 59 巻 6 号 p. 1463

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抄録

【背景と目的】難治性の良性食道狭窄(RBESs)に対する治療については現在様々な試みがなされている.ステント留置は1つの治療方法としてこれまでも報告されてきた.われわれは,本治療の長期的な嚥下障害の改善効果を評価する目的で,システマティックレビューおよびメタ解析を行った.

【方法】2015年1月までの期間で,成人RBESsに対するステント治療の報告を,PubMed,SCOPUS,Google Scholarで検索した.95%信頼区間を伴ったオッズ比を得るために,ランダム効果モデルを用いて,成功率,有害事象発症率および逸脱率を解析した.

【結果】最終的に18論文(444症例)が解析の対象となった.臨床的な成功率は40.5%(95%CI 31.5%-49.5%)でオッズ比は0.68(95%CI 0.46-0.98)であったが,高い異質性を占めした(I2=65.0%).メタ回帰分析によると,狭窄の病因がこの異質性において唯一影響を及ぼす因子であった.金属ステントやプラスチックステントの成功率は生分解性ステントに比べて有意に高くはなかった(それぞれ,46.2%,40.1%,32.9%).逸脱率は28.6%(95%CI 21.9%-37.1%),オッズ比0.40(95%CI 0.28-0.59)で,ステントの種類により有意差はなかった(それぞれ,33.3%,31.5%,15.3%).有害事象の発症率は20.6%(95%CI 15.3%-28.1%),オッズ比0.26(95%CI 0.18-0.39)で,これもステントの種類により有意差はなかった(それぞれ,19.4%,21.9%,21.9%).

【結論】RBESsに対するステント治療は,約40%の症例で効果を認めた.今後は狭窄の病因による治療効果の解析を行う必要がある.

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© 2017 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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