2017 年 59 巻 8 号 p. 1653-1662
近年の技術革新によって内視鏡技術の進歩は著しく,1,000倍の倍率によってリアルタイムに組織を観察しうる“optical biopsy”の時代に突入しつつある.筆者は2014年より共焦点内視鏡による消化管診断について研究を行ってきた.まず最初に,共焦点内視鏡に不可欠と考えられていたfluoresceinの静脈投与ではなく,ごく少量の滴下にてほぼ同等の画像を得ることに成功し,これを“fluorescein dripping method”として報告した.
胃においては共焦点内視鏡所見は非常に多彩で,未だ診断学は確立されていないが,胃癌の組織型類推は比較的容易に可能であり,生検の代替法として十分成立すると考える.現行の通常観察・拡大観察では鑑別が困難な十二指腸上皮性腫瘍の鑑別において,筆者は極めて有用な“ABC-C classification”を提唱している.今後は,欧米で盛んに行われはじめている共焦点内視鏡を用いた分子イメージングの研究に期待が寄せられる.