【背景】膵の上皮内新生物は,超音波内視鏡(EUS)にて慢性膵炎様変化としてとらえられることがある.本研究の目的は,BRCA2変異キャリアがどの程度非キャリアよりEUSにおける慢性膵炎様変化を示すかを調べることである.
【方法】内視鏡データベースからEUS目的に紹介されたBRCA2突然変異を有する患者を同定し,医療記録,EUSレポート,およびEUS画像について検討した.対照として,性別,EUS施行日,内視鏡専門医,および内視鏡機種を一致させた症例を1:2の割合で抽出した.慢性膵炎様変化の評価はRosemont分類を用いた.
【結果】37人のBRCA2変異キャリアと92人の対照症例がEUSを受けた.対照群と比較して,BRCA2変異キャリア群は,膵臓の充実性病変(16.2%対1.08%;P=0.005),膵嚢胞(21.6%対6.1%;P=0.01),Rosemont分類における「慢性膵炎と一致する」所見(13.5%vs 1%;P=0.002),またはRosemont分類における「慢性膵炎を示唆する」所見(16.2%対2.1%;P=0.003)を有意に有していた.年齢,アルコール摂取,および喫煙歴を調整した後,BRCA2変異キャリアは,慢性膵炎様変化を示す可能性が約25倍高いことが判明した.
【結論】BRCA2変異キャリアにおいて,慢性膵炎様の変化は膵臓の充実性および嚢胞性病変とともに,非キャリアよりも有意に多くみられた.