2018 年 60 巻 4 号 p. 1033-1043
【背景と目的】潰瘍性大腸炎(UC)患者は背景人口と比べ大腸癌のリスクが高い.その死亡率を下げる目的でガイドラインではサーベイランス内視鏡(SCS)を推奨しているが,そのガイドラインを医師が遵守しているかは十分に検証されてこなかった.今回われわれは日本においてUCに生じる癌・dysplasiaに対するSCSの現状を明らかにするために検討を行った.
【方法】2013年に炎症性腸疾患に関する研究会の参加医師541名に対し郵送によるアンケート調査を行った.
【結果】回答者のUC患者経験数の中央値は100であった.回答者の30%は癌合併例を経験したことがなく,51%は自分でUC合併大腸癌を発見したことがなかった.SCSの対象者について尋ねると47%の回答者は全大腸炎型および左側大腸炎型と答えたのに対し,38%は直腸炎型を含むすべてのUCを対象にしていた.罹病期間では63%の回答者が発症後7-10年経ってからSCSを開始していたが,20%は3年以下の症例も対象としていた.生検方法では52%が標的生検のみで行っており,49%で色素内視鏡を併用していた.SCSで行う生検数の中央値は回答者全体では5であったが,標的生検を行う医師の中央値は3であったのに対し,ステップ生検を併用する医師の生検数の中央値は7であり,統計学的に有意な差があった(p<0.0001).
【結論】SCSを施行するうえで,無視できない比率の回答者がガイドラインと異なる患者選択を行っていた.