【背景・目的】大腸SM癌のリンパ節転移のリスク因子については様々な報告を認め,追加切除の適応については議論の余地がある.また,先行内視鏡的切除が予後に影響を与える可能性も報告されている.
【方法】当院でリンパ節郭清を伴う大腸切除術が施行された大腸SM癌118例を対象とし,リンパ節転移のリスク因子,無再発生存期間・全生存期間を調査し,先行内視鏡的切除が予後に与える影響を検討した.
【結果】リンパ節転移のリスク因子はリンパ管侵襲であり,リンパ管侵襲陰性例ではSM浸潤度が3,500μm未満ならばリンパ節転移を認めなかった.内視鏡的切除の有無で分けた2群間では,無再発生存期間・全生存期間共に有意差を認めなかった.
【結論】本検討からは先行内視鏡的切除が大腸SM癌の予後を増悪させる可能性は少なく,SM浸潤度が正確に診断できない病変に対してR0切除が可能であることを担保した上で慎重に内視鏡的切除を先行することは選択肢となり得ると考えられた.