2019 年 61 巻 12 号 p. 2617-2623
78歳男性.腹痛を主訴に受診.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部に多数のびらんを伴う浮腫状変化を認めた.入院3日目,四肢に紫斑が出現し,十二指腸生検病理所見で壊死性血管炎を認め,IgA血管炎と診断した.入院6日目腹部所見が増悪し,閉塞起点を伴わないイレウスを認め,機能的イレウスと診断後にイレウスチューブを挿入した.その後プレドニゾロン投与で症状及び消化管・皮膚所見は改善した.消化管の内視鏡像及び内視鏡組織生検所見が本症の診断に有用となり,腸重積または腸穿孔を伴わないイレウスを合併したIgA血管炎の1例を経験したので報告する.