症例は69歳男性.上部消化管内視鏡検査にて,胃体上部から体中部大彎に中心部に陥凹を伴い軽度に隆起する病変が散見された.病変からの生検で,粘膜固有層内に慢性炎症細胞浸潤に加えて非乾酪性肉芽腫を認められた.PAB抗体による免疫染色で,肉芽腫内は陽性所見を示し,さらに,胃に肉芽腫を発生し得るほかの疾患は除外されることから,胃限局性サルコイドーシスと診断された.7カ月後の経過観察目的の内視鏡検査で,肉芽腫性病変近傍に早期胃癌が発見され,内視鏡治療を実施された.肉芽腫性病変の内視鏡像は,多彩な形態を呈し,また,経時的に形態変化を示すことがあることが知られており,まれではあるが,胃癌の併存にも留意する必要がある.