日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
食道腺癌の内視鏡治療の現状と課題
岩坪 太郎石原 立
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2019 年 61 巻 2 号 p. 123-132

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抄録

Long segment Barrettʼs esophagusからの発癌が多い欧米では,食道腺癌やHigh grade dysplasia症例に対して結節部分をEMRで切除し,Barrett食道を含めた周囲をラジオ波で焼灼するCombination therapyが主に用いられている.一方本邦では,術前に癌の広がりを診断し,癌の部分のみがESDで切除されている.食道腺癌に対するESDの一括切除率はほぼ100%であったが,治癒切除率は65%以下と低く,これは食道腺癌の側方及び深達度診断の困難さを反映しており,今後改善すべき課題である.内視鏡切除後の治癒判定に関し,欧米では脈管侵襲なし,低分化成分なし,3cm以下では転移再発のリスクが低いと考えられている.本邦の多施設共同研究でも同様の結果が得られており,この規準を本邦の治癒判定にも適応するか検討が必要である.

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© 2019 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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