日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
最新文献紹介
DOACの周術期管理:前向きコホート研究
小野 尚子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 61 巻 2 号 p. 212

詳細
 

【目的】英国消化器病学会(BSG)/欧州消化器内視鏡学会(ESGE)ガイドラインに準じた直接経口抗凝固薬(DOAC)の周術期管理下での内視鏡偶発症発生頻度を評価すること.

【方法】イタリア13施設の内視鏡センターによる多施設前向きコホート研究.2016年3月から2017年6月までに連続したDOAC服用中の内視鏡予定患者が前向きに登録された.DOACの休薬と再開時期は記録され,後出血と血栓塞栓症および死亡について電話インタビューとカルテ記録により調査された.一次エンドポイントは検査中もしくは検査後30日以内の出血(国際血栓止血学会クライテリア1以上の大出血と臨床的に問題となる出血)である.

【結果】529人(低危険手技327人,高危険手技202人)について解析された.出血は45人(8.5%,95%,CI 6.3%-11.2%)でみられ,検査中出血が28人で,17人は後出血であった.低危険手技における出血は1.8%(95%CI 0.7%-4%)で,すべて生検による出血であった.高危険手技では19.3%(95%CI 14.1%-25.4%)に出血がみられた.血栓塞栓症は2人(0.4%,95%CI 0-1.4%)に発症した.ガイドラインの遵守率は休薬が41.9%,再開は61.3%であった.DOAC再開時期別の高危険手技の後出血は,ガイドライン遵守で6.6%,ガイドラインよりも遅い再開で7.7%とほぼ同等であったが,ガイドラインより早く再開した場合は14.3%と2倍程度高い出血率であった(p=0.27).また,高危険手技におけるヘパリン置換群では非置換群に対し,有意に後出血が多かった(26.7%:5.9%,p=0.017).

【結論】BSG/ESGEガイドラインに基づいたDOACの内視鏡周術期管理は,リスクベネフィットの点からは有益と思われる.

《解説》

本論文はXa阻害薬を含めたDOACの周術期管理別による出血リスクを前向きに調べた初めての報告である.2016年に公表されたBSG/ESGEガイドラインにおけるDOACの周術期管理は,低リスク手技では当日朝分のみ休薬で同日夕に再開,高リスク手技では検査前最低48時間以上,処置後も48時間以上(周術期で5日以上)の休薬が推奨されており,日本消化器内視鏡学会が発表した2017年の追補版に比較すると高危険手技についてはより長い休薬期間となっている.本邦でも,DOAC服用者での後出血率が高いことは報告され始めているが,薬剤の特徴からは休薬48時間以内での再開が望まれ,今後さらなるリアルワールドのデータが待たれる.

文 献
  • 1.   Radaelli  F,  Fuccio  L,  Paggi  S et al. Periendoscopic management of direct oral anticoagulants:a prospective cohort study. Gut Publication Date:31 Jul 2018;DOI:10.1136/gutjnl-2018-316385. [Epub ahead of print]
 
© 2019 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
feedback
Top