【目的】英国消化器病学会(BSG)/欧州消化器内視鏡学会(ESGE)ガイドラインに準じた直接経口抗凝固薬(DOAC)の周術期管理下での内視鏡偶発症発生頻度を評価すること.
【方法】イタリア13施設の内視鏡センターによる多施設前向きコホート研究.2016年3月から2017年6月までに連続したDOAC服用中の内視鏡予定患者が前向きに登録された.DOACの休薬と再開時期は記録され,後出血と血栓塞栓症および死亡について電話インタビューとカルテ記録により調査された.一次エンドポイントは検査中もしくは検査後30日以内の出血(国際血栓止血学会クライテリア1以上の大出血と臨床的に問題となる出血)である.
【結果】529人(低危険手技327人,高危険手技202人)について解析された.出血は45人(8.5%,95%,CI 6.3%-11.2%)でみられ,検査中出血が28人で,17人は後出血であった.低危険手技における出血は1.8%(95%CI 0.7%-4%)で,すべて生検による出血であった.高危険手技では19.3%(95%CI 14.1%-25.4%)に出血がみられた.血栓塞栓症は2人(0.4%,95%CI 0-1.4%)に発症した.ガイドラインの遵守率は休薬が41.9%,再開は61.3%であった.DOAC再開時期別の高危険手技の後出血は,ガイドライン遵守で6.6%,ガイドラインよりも遅い再開で7.7%とほぼ同等であったが,ガイドラインより早く再開した場合は14.3%と2倍程度高い出血率であった(p=0.27).また,高危険手技におけるヘパリン置換群では非置換群に対し,有意に後出血が多かった(26.7%:5.9%,p=0.017).
【結論】BSG/ESGEガイドラインに基づいたDOACの内視鏡周術期管理は,リスクベネフィットの点からは有益と思われる.