2019 年 61 巻 3 号 p. 330
【背景】現在,人工知能(AI)を活用したカプセル内視鏡診断支援システムは確立されていない.また,小腸カプセル内視鏡における異常所見の中で最も頻度が高いとされる薬剤や炎症に伴う粘膜傷害(びらん・潰瘍)は,周囲粘膜との色調変化に乏しいこともあり診断が難しいことも少なくない.
【目的】カプセル内視鏡画像の小腸びらん・潰瘍所見を自動検出するためのディープラーニングによるAIシステムを開発する.
【方法】カプセル内視鏡の小腸びらん・潰瘍画像5,360枚(115症例)を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)システムに学習させた.本CNNシステムに,学習画像とは独立した10,440枚(65症例)のカプセル内視鏡小腸画像(びらん・潰瘍440枚,正常小腸10,000枚)を読影させ,びらん・潰瘍の自動検出能を検証した.なお,検証用画像のびらん・潰瘍の患者病態は,NSAIDs起因性(36%),炎症性腸疾患(11%),吻合部潰瘍(4%),悪性腫瘍(4%)の内訳であった.画像単位で正否を判断し,ROC-AUC,感度,特異度,正確度で評価した.CNNシステムが算出した確度(びらん・潰瘍である確率)のカットオフ値の選定にYouden Indexを採用した.
【結果】学習したCNNは,10,440枚の検証用画像の読影に233秒を要した(44.8枚/秒).びらん・潰瘍検出のAUCは0.958(95%信頼区間 0.947-0.968)であった.確度のカットオフ値を0.481とした際の感度,特異度,正確度は各々88%,91%,91%であった.読影医が正常小腸と判断していた10,000画像のうち3画像に対してCNNが新規びらんを同定した.
【結語】カプセル内視鏡の小腸びらん・潰瘍所見を自動検出するAIシステムを作成し検証した.本システムは読影医の負担軽減や見逃しを減らすことに寄与すると考えられた.