2019 年 61 巻 4 号 p. 363-373
悪性肝門部胆管閉塞は様々な疾患が原因となり,胆管閉塞の部位や程度も症例毎に大きく異なる.非切除例に対する胆道ドレナージとしてはステントを用いた内視鏡的ドレナージが第一選択とされ,使用ステントとしてはuncovered self-expandable metallic stent(SEMS)が良好な開存期間を示すことから広く用いられている.近年ではプラスチックステント(PS)を胆管内に留置するinside stentやcovered SEMSの使用も報告されている.しかしながら,ドレナージ範囲,両葉ドレナージにおけるSEMS留置形態に関してはエビデンスが不十分であり,一定の見解が得られていない.また,ステント再閉塞に対するre-interventionにおいては,PSが広く使用されているが,開存期間の点からSEMSが使用されることもある.
悪性肝門部胆管閉塞を来たす疾患は様々であり,切除,非切除に関わらず多くの症例で胆道ドレナージが病態の改善に不可欠である.胆道ドレナージにより,減黄や胆管炎のコントロールを行った後に,原疾患の治療を施行することが本邦では一般的とされている.胆道ドレナージには経皮的ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)と内視鏡的ドレナージの大きく2つの方法があり,非切除肝門部胆管閉塞においては,ステントを用いた内視鏡的胆道ドレナージが第一選択と考えられている.しかしながら,肝門部胆管閉塞では様々な疾患が原因となり,解剖学的にも肝門部では胆管が複雑に分岐し,胆管閉塞の部位,程度も症例毎に大きく異なることからも,使用するステント,ドレナージ範囲,両葉ドレナージにおける金属ステント(self-expandable metallic stent:SEMS)の留置形態に関するエビデンスが不十分であり,一定の見解が得られていないのが現状である.本稿では非切除悪性肝門部胆管閉塞に対する内視鏡胆道ドレナージにつき,最近の知見も含め概説する.
悪性肝門部胆管閉塞を来たす疾患としては,胆管癌,胆嚢癌,原発性・転移性肝腫瘍,リンパ節転移などが挙げられる.また良性疾患としてIgG4関連硬化性胆管炎も肝門部胆管癌と胆管像が類似することから重要な鑑別疾患と考えられる.肝門部における胆管閉塞の程度の評価にはBismuth-Corlette分類 1)が一般的に使用されるので,理解しておく必要がある(Figure 1).悪性肝門部胆管閉塞を来たす多くの疾患は,あくまで外科切除が唯一の根治的な治療法であることから,専門施設の胆道外科医と綿密に連携し,まずは外科切除の可否を検討し,予定術式を念頭においた胆道ドレナージを行う必要がある.手術適応は腹部超音波,MDCT,MRCP,超音波内視鏡,ERCPなどによる腫瘍の進展度・深達度診断に基づいて決定されるが,特に胆管癌においては正確な術前進展度診断が必要とされる.造影MDCTは胆管癌の進展度診断において重要な検査法であるが,MDCT施行前に胆道ドレナージを行うと反応性の胆管壁肥厚を来たすことから,癌の進展度範囲診断が困難になるため,ドレナージ前にMDCTを施行することが必要である.また,肝門部胆管閉塞に対する過度の胆管造影は胆管炎を惹起する可能性があることから,ドレナージ施行時に十分な胆管造影をできないことも多いため,ドレナージ施行前にMRCPを施行し,胆管の閉塞部位,分岐形態をしっかりと把握した後に,胆道ドレナージに臨むことが重要である.

Bismuth-Corlette分類(文献1より引用).
切除可能な悪性肝門部胆管閉塞に対して,以前は経皮的に詳細な進展度診断を行うとともに全肝ドレナージを行うことが推奨されていたが,近年では,経皮経肝門脈塞栓術の普及による外科的切除率の向上とともにPTBDに伴う胆道出血や門脈閉塞といった重篤な合併症,腹腔内や瘻孔部への癌の播種といった偶発症が報告され,また区域性胆管炎のリスクを下げることから内視鏡的な外瘻法である内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術(endoscopic nasobiliary drainage:ENBD)が第一選択となってきている 2),3).そして,切除可能な肝門部胆管閉塞症例に対しては原則としてSEMSを使用した胆道ドレナージを行うべきではないとされている.また,非切除症例に対するSEMS留置前の胆管炎の存在によりSEMSの開存期間が短くなるとの報告もあることから,SEMS留置前には胆管炎のコントロールを十分に行っておくことは重要であると考えられる 4).
非切除肝門部胆管閉塞に対する内視鏡的ドレナージにおいて使用されるステントの種類としてはプラスチックステント(plastic stent;PS)あるいはSEMSが挙げられる.SEMSとしてはcovered SEMSとuncovered SEMSが使用可能であるが,肝門部胆管閉塞に対するcovered SEMSの使用は胆管分枝の閉塞の危険性があることから,一般的にはuncovered SEMSが用いられることが多い.肝門部胆管閉塞におけるPSとuncovered SEMSの比較では過去にいくつかのRCTが報告されている.Wagnerら 5)は,ステント関連偶発症に対するre-interventionの回数がSEMS 0.4回,PS 2.4回とSEMSで有意に低頻度であり,re-interventionのための入院期間もSEMSで有意に短期間であるため,費用対効果の点からもSEMSが望ましいと報告している.また,Perdueら 6)も,ステント関連偶発症がSEMS 11.8%,PS 39.3%とSEMSにて有意に低率であったと報告し,Sangchanら 7)は,SEMSにおいて臨床的奏効率が高く,生存期間も有意に良好であったと報告している.さらに,本邦においてはMukaiら 8)が,ステントの50%開存期間がSEMS 359日,PS 112日とSEMSにおいて有意に良好であり,re-interventionの回数,処置にかかる総費用もSEMSにおいて有意に少なかったと報告している.以上4報のRCTともPSに対するSEMSの優越性を報告していることから,現在の非切除肝門部胆管閉塞に対する第一選択のステントはuncovered SEMSと考えられる.
PSに関しては安価,抜去が可能であるという利点があり,3カ月未満の予後が予測されるような症例では費用対効果の点からPSの使用も考慮するべきであると考えられる.PSは7Frから10Frのストレートあるいはピッグテイルタイプを乳頭から十二指腸に出す形(across the papilla)で留置することが一般的であるが,近年ではPSの下端を乳頭から十二指腸内に出さずに(above the papilla)胆管内に留置するinside stentの良好な成績も報告されている.Inside stentにおける50%ステント開存期間は136日から190日と従来のacross the papillaのPS留置方法よりも良好であると報告され,SEMSの開存期間にも匹敵することからも,有用なPS留置方法の可能性があると考えられる 9)~11).
肝門部胆管閉塞に対するSEMSとしては通常uncovered SEMSが用いられるが,covered SEMSの使用も報告されている.Inoueら 12)は,BismuthⅢ,Ⅳの進行例で初めからドレナージ領域を限定する症例やBismuthⅡの症例に対して,糸付きの6mm径covered SEMSを用いたside-by-side(SBS)による両葉ドレナージを,全例above the papillaの形態で行い,recurrent biliary obstruction(RBO) 13)までの期間(Time to RBO;TRBO)が210日と良好な成績を報告している(Figure 2).また,Yoshidaら 14)は,6mm径covered SEMSを用いて,SBSによる両葉ドレナージを主にacross the papillaで行い,50%ステント開存期間は95日であったと報告している.さらに,Kitamuraら 15)も,6mm径covered SEMSを用いて,SBSによる両葉ドレナージを全例across the papillaで行い,TRBOは79日であったと報告している.前述した6mm径covered SEMSの報告からはacross the papillaよりもabove the papillaの留置形態の方がステントの開存期間が良好な可能性が示唆される.Covered SEMSの利点はステント再閉塞時に抜去が可能な点であるが,欠点として胆管分枝の閉塞により,胆管炎,肝膿瘍を惹起する可能性がある.危惧される胆管分枝の閉塞に関連する偶発症として,Inoueら 12)は17例中2例(11.8%),Yoshidaら 14)は32例中2例(6.3%)の肝膿瘍を報告しており,covered SEMSを肝門部に留置する際には,留置位置に注意をする必要があると考えられる.症例を選択する必要はあるが,肝門部胆管閉塞に対するcovered SEMSの使用も選択肢の一つであると考えられる.

6mm径covered SEMSによるside-by-sideによる両葉ドレナージ.
a:SEMSがabove the papillaの形態で胆管内留置されている.
b:SEMS抜去用の糸が乳頭から十二指腸に出ている.
SEMS径に関しては,遠位胆管閉塞では一般的に10mm径が選択されることが多いが,肝門部胆管閉塞では6mm,8mm,10mm径と様々なステント径が選択されている.遠位胆管閉塞に対するSEMS径の検討では,Loewら 16)が10mm径SEMSと6mm径SEMSを比較したRCTを施行し,10mm径のステントの開存期間が有意に良好であったと報告しているが,肝門部胆管閉塞におけるステント径を比較したRCTは報告されていない.Covered SEMSでは6mm径,uncovered SEMSでは8mmあるいは10mm径が使用されることが多いが,各症例の胆管径やドレナージ範囲,ステントの留置形態を考慮してステント径が決定される.Naitohら 17)は,肝門部胆管閉塞に対するstent-in-stent(SIS)の留置形態による両葉ドレナージにおける8mm径,10mm径のSEMS径別での成績をretrospectiveに比較検討し,ステント留置成功率,臨床的成功率,TRBOに関しては両者に差を認めず,re-intervention時における両葉へのrevisionary stentの留置成功率は10mm径で68%,8mm径で31%と10mm径で有意に高率であったと報告している.両葉へのrevisionary stentの留置成功率の観点からはSISによる両葉ドレナージの際には10mm径のSEMSが望ましいと結論付けている.
(2)ドレナージ範囲悪性肝門部胆管閉塞では左右胆管が分断されるいわゆる泣き別れの状態になり,BismuthⅢ,Ⅳの進行例では肝内胆管も分断された状態となるため,すべての胆管枝をドレナージするためには,複数本のステント留置が必要となる.肝門部胆管閉塞に対するドレナージ範囲としては,1本のステントにて左葉あるいは右葉のドレナージを行う片葉ドレナージと複数本のステントにて左右両葉のドレナージを行う両葉ドレナージが考えられる.理論的には両葉ドレナージの方が望ましいと考えられるが,両葉ドレナージにおいて,初回ドレナージ時やre-intervention時におけるrevisionary stentの留置が技術的に難しいことや,両葉ドレナージを施行しなくても黄疸が改善する症例も存在することから,片葉,両葉ドレナージのどちらを行うべきかというドレナージ範囲に関しては,一定のコンセンサスが得られてない.
ドレナージ領域に関して,Vienneら 18)はステント留置後のドレナージ効果と最も関連する因子は肝容積の50%以上の領域のドレナージを行うことであり,肝容積の50%以上の領域のドレナージを行うと有意に生存期間が良好であったと報告し,ドレナージ前に肝容量の評価を行い,肝容量の50%以上の領域のドレナージを行うことが必要であるとしている.また,Takahashiら 19)は肝予備能が保たれている正常肝症例ではCT volumetryにて肝容積の33%以上,非代償性肝硬変のような肝予備能が低下した症例では50%以上の領域のドレナージを行うと,ドレナージ効果があると報告している.また,Miuraら 20)は,左葉の片葉ドレナージは,両葉ドレナージや右葉の片葉ドレナージと比較して,ステント開存期間が不良であると報告し,左葉の肝容量が小さいことと関連があるのではないかと推測している.
ドレナージ範囲に関する最初のRCTはDe Palmaら 21)の報告である.彼らはPSを用いた片葉,両葉ドレナージを比較したRCTを施行し,片葉ドレナージでステント留置成功率が有意に高率であり,両葉ドレナージで偶発症が多く,生存期間において両者の間に差がないことから,片葉ドレナージで十分であると結論付けている.しかしながら,彼らのRCTはPSを用いた検討であり,近年,主流となっているSEMSを用いたドレナージとはステントの特性も異なることから,SEMSを使用した検討では,結果が異なる可能性も考えられる.SEMSを用いたドレナージ範囲に関するretrospectiveなstudyは多数報告されているが,両葉ドレナージにおけるステント開存期間の方が有意に良好であるという報告 22),23)や片葉・両葉ドレナージでステント開存期間に差がみられないという報告 8),24)など結果は様々であり,一定の見解が得られていない.
しかしながら,近年,SEMSを用いて片葉,両葉ドレナージを比較した多施設RCTが韓国から報告された.Leeら 25)はBismuthⅡ以上の肝門部胆管閉塞133例(両葉ドレナージ67例,片葉ドレナージ66例)を比較検討し,手技成功率は両葉ドレナージ95.5%(64/67),片葉ドレナージ100%(66/66)と同等であったが,臨床的奏効率は両葉ドレナージ95.3%(61/64),片葉ドレナージ84.9%(56/66)と両葉ドレナージで有意に高率であった.またre-interventionを必要とする症例の頻度は両葉ドレナージ42.6%(26/61),片葉ドレナージ60.3%(38/63)と片葉ドレナージで有意に高頻度であった.早期偶発症は両葉ドレナージ6.3%,片葉ドレナージ27.3%と有意に片葉ドレナージで高率であったが,晩期偶発症は両葉ドレナージ43.8%,片葉ドレナージ47.0%と同等であった.ステント開存曲線は両葉ドレナージで有意に良好であり(log-rank:p<0.001),多変量解析においても両葉ドレナージが良好なステント開存期間と関連する独立因子であった.また興味深いことに,両葉ドレナージが生存期間においても長期生存と関連する独立因子であった.臨床的奏効率,ステント開存期間,生存期間の点からも両葉ドレナージの方が望ましいと結論付けている.
今までに片葉・両葉ドレナージに関するメタアナリシスが3報報告されている.2報のメタアナリシスにおいて,手技成功率は片葉ドレナージで高率であり,臨床的奏効率,偶発症,ステント開存期間,生存期間は片葉・両葉ドレナージで差を認めなかったと報告されている 26),27).また,もう1報のメタアナリシスにおいて,PSでは手技成功率,偶発症,30日死亡に関して片葉・両葉ドレナージで差を認めなかったが,SEMSでは両葉ドレナージで偶発症が低率であり,黄疸の改善効果が強く,30日死亡に関しては片葉・両葉ドレナージで差を認めなかったと報告されている 28).
これらのことから,ドレナージ施行前に,CTによる肝容量の評価を行い,50%以上の領域のドレナージが可能であれば,最初に片葉ドレナージを施行し,減黄不良症例や非ドレナージ領域の胆管炎を起こす症例に対して両葉ドレナージに移行すればよいという考え方や,近年のRCTの結果から可能な限り両葉ドレナージを行うべきであるという考え方も存在し,ドレナージ範囲に関しては両葉ドレナージが必要か,片葉ドレナージで十分であるかはcontroversialであり,コンセンサスが得られていないのが現状である.
(3)ステント留置形態SEMSを用いた両葉ドレナージを施行する場合,ステントを並列に留置するside-by-side(SBS)法とステントをY字型に留置するSIS法の大きく2種類のステント留置方法が用いられている(Figure 3).以前から施行されているsequential SBS法は左右の胆管にガイドワイヤー(GW)を留置した後に,一方の胆管に1本目のSEMSを留置し,その後,対側胆管に留置されたGWに沿わせて,2本目SEMSのデリバリーシステムを挿入し,2本目のSEMS留置を行う方法である.SBS法の手技は比較的容易であるが,1本目のSEMSを展開した後に,2本目のデリバリーシステムを対側胆管に挿入する際,1本目に留置されたSEMSの下端を2本目SEMSのデリバリーシステムが越えることができず,両葉ドレナージが施行不能な症例も存在するため,sequential SBS法の手技成功率は73-91%と報告されている 29)~32).

両葉ドレナージにおけるステント留置形態(side-by-side法とstent-in-stent法).
しかしながら,近年では細径のデリバリーシステムを持つSEMSが開発され,内視鏡の鉗子口から同時に2本のデリバリーシステムを挿入することが可能となり,左右胆管に同時に2本のSEMSが留置できるsimultaneous SBS法が施行可能となった(Figure 4).理論的にはGWを両葉胆管に留置することができれば,simultaneous SBS法によるSEMSの両葉留置はほぼ可能であることから,simultaneous SBS法の手技成功率は85-100%と報告され,sequential SBS法よりも高い手技成功率が報告されている 33)~35).Inoueら 35)はsequential SBS法とsimultaneous SBS法をretrospectiveに比較し,手技成功率はsimultaneous SBS法で有意に高率であり(100% vs 71%;P=0.045),手技時間もsimultaneous SBS法で有意に短時間であった(22 minutes vs 52 minutes;P=0.017)と報告している.simultaneous SBS法は手技成功率と処置時間の観点からは有用な両葉ドレナージにおけるステント留置方法であると考えられる.

Simultaneous side-by-side法.
a:左右胆管にSEMSのデリバリーシステムを同時に挿入.
b:2本のデリバリーシステムを同時に展開中.
c:2本のSEMS留置後.
一方,SIS法は1本目のSEMSの留置を行った後,ガイドワイヤーを1本目に留置されたSEMSの内腔からメッシュ間を通して対側の胆管に挿入し,2本目SEMSのデリバリーシステムを対側の胆管に挿入し,2本目のSEMS留置を行う方法である(Figure 5).SIS法は2本目のガイドワイヤーやデリバリーシステムを1本目のSEMS内腔からメッシュを通して対側胆管に挿入することがしばしば困難であり,難易度が高いとされている.また,re-intervention施行時には,肝門部でSEMSの重なりあった部分を通してステントを挿入する必要があるので,re-intervention時の手技も比較的難しいとされている.しかしながら,ステントのセルを大きくすることにより,1本目に留置したSEMSのどの部位のメッシュ間からも2本目のSEMSのデリバリーシステムが比較的容易に挿入できるSEMSが開発され,以前と比べて,SIS法の手技的難易度も比較的,低下してきていると考えられる.Leeら 36)やKogureら 37)は,これらのSEMSを開発し,SISの手技成功率をそれぞれ,80%(8/10),100%(12/12)と報告している.SIS法の手技成功率は82-100%と報告されている 32),38)~45).

Stent-in-stent法.
a:1本目のSEMS展開後.
b:2本目のSEMS展開後.
c:2本のSEMS留置後のチューブ造影.
SIS法にはbraded typeあるいはlaser-cut typeのSEMSが一般的に使用されるが,Kawakuboら 44)はステントのメッシュが広く,デリバリーシステムが細いlaser-cut typeのSEMSの方がbraded typeよりSIS法における手技成功率が高いと報告している.一方で,Leeら 46)はメッシュの大きさでSIS法における手技成功率,臨床的奏効率,早期・晩期偶発症,ステント開存期間に差を認めなかったと報告している.
SBS法の手技成功率は73-100%,臨床的奏効率は82-100%,RBOの頻度は3-71%,TRBOは2.6-15.6カ月,RBO以外の偶発症の頻度は3-44%と報告されている(Table 1) 47).一方で,SIS法の手技成功率は82-100%,臨床的奏効率は77-100%,RBOの頻度は6-42%,TRBOは3.9-7.9カ月,RBO以外の偶発症の頻度は9-29%と報告されている(Table 2) 47).SBSとSISをretrospectiveに比較検討した論文は過去3報報告されている.Naitohら 32)は手技成功率,臨床的奏効率はSBS法,SIS法で差を認めなかったが,偶発症に関してはSBS法44%,SIS法13%とSBS法で有意に高頻度である一方,開存曲線はSBS法で有意に良好であったと報告している.SBS法では総胆管にて並列に留置されたSEMSによる胆管過拡張や門脈閉塞により,胆嚢炎,胆管炎,肝膿瘍が引き起こされるのではないかと推測している.一方で,Lawら 33)やKimら 48)はSBS法,SIS法で臨床的には差がないと報告している.以上のことから,両葉ドレナージにおいて,SBS法,SIS法のどちらを選択するべきかについての結論はでていないのが現状である.

Side-by-side法の過去報告例(文献47を改変).

Stent-in-stent法の報告例(文献47を改変).
内視鏡的胆道ドレナージによるステント留置後にsludge,tumor ingrowth,tumor overgrowthなどによるステント再閉塞に対して,re-interventionが必要となる症例が存在する.PSやcovered SEMSはステント抜去が可能であることから,留置されたステントを抜去した後にステント再留置を行うことが一般的である.6mm径の fully covered SEMSのステント抜去成功率は100%と報告されているが,6mm径のpartial covered SEMSのステント抜去成功率は60.0%(6/10),66.7%(4/6)と報告されている 14),15).Uncovered SEMSは通常,ステント抜去が不能であるため,PSあるいはSEMSを留置されているSEMS内腔に留置する.PSや片葉SEMSのステント再閉塞に対するre-interventionは比較的容易であるが,特にSIS法による両葉SEMS留置後のステント再閉塞に対するre-interventionは技術的に難易度が高いとされている.
Re-interventionの際のrevisionary stentとしてはPSを使用することが多く,またre-interventionの際にメッシュを通過しやすいように作られたPSも開発されており 49),現在では両葉SEMS留置後のre-interventionも施行しやすくなってきている.またre-interventionに使用するステントとしてはPSだけでなく,SEMSを使用することも可能であり,Inoueら 12)はSEMS再閉塞時のre-interventionにおけるrevisionary stentの開存期間についてretrospectiveに検討を行い報告している.Revisionary stentの開存期間はSEMS 131日,PS 47日とSEMSで有意に長期間であり,また多変量解析において,revisionary stentとしてのSEMSの使用がrevisionary stentの長期開存と関連する唯一の独立因子であった.一般的には両葉SEMS留置後のステント再閉塞に対するre-interventionにはPSを使用することが多く,もちろん費用対効果も考える必要はあるが,開存期間の点からはSEMSの使用も選択肢の一つになり得ると考えられる.
非切除悪性肝門部胆管閉塞に対するステントを用いた内視鏡胆道ドレナージを中心に概説した.悪性肝門部胆管閉塞は様々な疾患から構成され,症例により胆管閉塞の部位,閉塞・狭窄の程度などが大きく異なる.近年のステントの開発や関連デバイスの進歩により,悪性肝門部胆管閉塞に対する内視鏡的ステント留置は施行しやすくなってきているが,いまだ難易度の高い内視鏡的治療と考えられる.また,使用するステント種類,ドレナージ範囲,ステント留置形態などに関しては,いまだ一定の見解が得られていない.今後,これらの問題解決のためのエビデンスの蓄積が期待される.
本論文内容に関連する著者の利益相反:なし