2019 年 61 巻 5 号 p. 1123-1130
症例は64歳,女性.健診の全大腸内視鏡検査でS状結腸に径5mmの粘膜下腫瘍様の形態の病変を指摘された.病変の大半は正常粘膜で被覆されていたが,病変中央部に発赤調の陥凹を認め,内部に管状や分枝状のpitが観察された.同病変は13カ月前にも指摘されており,13カ月の経過で病変は増大し,中央の陥凹は拡大していた.診断的治療目的に内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織学的には,粘膜下層を主座とした中分化管状腺癌であり,腫瘍は粘膜から粘膜下層にフラスコ状に浸潤していた.粘膜下腫瘍様形態を呈する大腸癌は比較的まれであり,本病変は径5mmで経過を追えたという点で貴重な症例と考え報告する.