2019 年 61 巻 5 号 p. 1174
【目的】胃癌の原因であるHelicobacter pyloriと大腸癌リスクとの関連が報告されているが,対象によって結果が一致せず,毒素因子VacAに特徴的である可能性が示唆されている.本研究では,米国住民を代表する大規模集団のコホートを集積し,種々のH. pylori抗体と大腸癌リスクの関連を評価した.
【方法】大腸癌4,063例および性・年齢を一致させた対照4,063例の血清毒素因子VacAおよびCagAを含む13種のH. pylori蛋白に対する抗体反応を,多重血清測定法を用いて解析した.
【結果】対照の40%および症例の41%がH. pylori血清抗体陽性であった(オッズ比1.09;95%信頼区間0.99-1.20).H. pylori VacA血清抗体陽性は大腸癌のオッズ比を11%上昇させ(オッズ比1.11;95%信頼区間1.01-1.22),この関連はアフリカ系米国人で強かった(オッズ比1.45;95%信頼区間1.08-1.95).さらに,大腸癌のオッズはVacA抗体価と共に,全コホート(P=0.008)およびアフリカ系米国人(P=0.007)で上昇した.
【結論】多様な大規模集団のコホート解析により,H. pylori VacAに対する血清反応が,特にアフリカ系米国人において,大腸癌リスクと関連することを見出した.今後,このマーカーが,米国住民におけるH. pylori毒性株と関連するか探求する必要がある.