2019 年 61 巻 7 号 p. 1423-1429
症例は65歳,男性.便潜血陽性のため大腸内視鏡を施行された.回盲弁から10cm口側に23mmの発赤調のⅡa+Ⅱc様病変を指摘され,生検で高異型度腺腫と診断された.NBI(Narrow band imaging)拡大観察ではJNET(Japan NBI Expert Team)分類Type 2Aに相当する所見であった.EMRを施行し,病変を一括切除した.出血や穿孔などの合併症は認めなかった.病理診断は軽度異型と高度異型の混在した管状腺腫であった.一括完全切除されており,1年後の大腸内視鏡で再発は認めなかった.本症例は非常に稀なⅡa+Ⅱc様回腸腺腫の治療におけるEMRの有用性と,組織型推定におけるNBI拡大観察の有用性が示唆された貴重な症例と考えられたため,報告する.