2019 年 61 巻 9 号 p. 1650-1655
症例は60歳の男性,黒色便と息切れを主訴に当院へ紹介された.緊急上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部に亜有茎性で頂部に凝血塊の付着した潰瘍を有する粘膜下腫瘍を認めた.露出血管の処理にクリッピングを用いたが腫瘍の可動性のため難渋,最終的に内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL)で使用しているligating deviceを用いて内視鏡的結紮術を施行し,止血を得た.3日後に十二指腸粘膜下腫瘍に対して超音波内視鏡を施行したところ,内部均一な高エコー像を認め,十二指腸脂肪腫と診断した.再出血予防のため内視鏡的に切除し,病理組織検査にて25×16×18mmの大きさの脂肪腫と診断された.本例のような出血性十二指腸脂肪腫に対する止血に内視鏡的結紮術が有用と考えられたので報告する.