2020 年 62 巻 2 号 p. 158-164
症例は80歳代,女性.血便のため救急搬送された.上部・下部消化管内視鏡検査では明らかな出血源は特定できなかった.カプセル内視鏡では,小腸に滞留したpress-through package(PTP)と,近傍に線状潰瘍を認めた.経口ダブルバルーン内視鏡検査ではPTPは小腸壁に刺入しており,同部の潰瘍形成と肛門側の狭窄を認めた.内視鏡的摘除は困難であり,腹腔鏡補助下小腸部分切除術施行され,約15mm四方のPTPが2つ摘出された.その後血便の症状なく経過している.PTP誤飲の診断においてカプセル内視鏡が有用であった症例であり,文献的考察を加えて報告する.