日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
十二指腸憩室内乳頭に対して牽引クリップを用いて胆管ドレナージに成功した1例
大幸 英喜 早川 晃稲田 悠記冨田 学辻 宏和
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2020 年 62 巻 2 号 p. 165-172

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抄録

症例は74歳,男性,心窩部痛を主訴に来院.傍十二指腸乳頭憩室による急性胆管炎と考え,胆管ドレナージ目的にERCPを施行した.十二指腸主乳頭(以下,乳頭)は憩室下縁右側に位置し,背側向きに開口していたため胆管挿管はできなかった.乳頭が憩室外で観察できたのは生検鉗子で牽引していた時のみであった.そこで牽引クリップで乳頭の肛門側をさらに肛門側に牽引することで憩室内から乳頭を引き出し正面視が可能となり,胆管挿管に引き続いて胆道ドレナージを施行し得た.傍乳頭憩室を有し,乳頭開口部が正面視できない症例では牽引クリップ法がERCP関連処置を可能にする1つの選択肢となると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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