2020 年 62 巻 6 号 p. 741
【背景】ヨード散布による色素内視鏡は,表在型食道扁平上皮癌の検出目的に頻用されているが,使用されているヨード溶液の濃度については報告によって違いが見られる.本研究の目的はヨードの濃度による患者の不快感の違いを検証することである.
【方法】本研究は前向きランダム化二重盲検比較試験である.症例登録対象は,2018年3月から2019年1月の期間,上部消化管内視鏡検査が予定された食道扁平上皮癌のハイリスク症例77例,全例,1%ヨード使用群(A群)もしくは2%ヨード使用群(B群)に振り分けられ,痛みに関する評価の比較が行われた.主要評価項目は,両群の痛みの評価の違い,副次評価項目は,各群の安全性,病変検出率,内視鏡医による色調の評価および国際照明委員会の色度図を用いたヨード染色性不良領域と濃染領域の明度とした.
【結果】A群ではB群に比べ胸焼けや胸骨後の痛みが有意に少なかった(p=.02).計11例が胸焼けおよび胸骨後の痛みを訴えた(group A,2;group B,9).うち4例が胸骨角より上部の,7例が胸骨角より下の痛みを訴えた.病変検出率,内視鏡医による色調評価,明度において両群間で差はなかった.いずれの症例においても有害事象はなく,安全に本研究を終了することができた.
【結語】2%ヨード使用は1%ヨード使用に比べ痛みを誘発する可能性が高く,本研究では両群とも色調は同等であった.故に,食道におけるヨードを用いた色素内視鏡には1%ヨード溶液を使用することを推奨する(Clinical trial registration number:UMIN000029796.).