2020 年 62 巻 8 号 p. 1487-1493
内視鏡による整復を行い,待機的に定型的な腹腔鏡下手術を施行し得た盲腸癌による成人腸重積症の1例を経験したため報告する.症例は81歳,女性.来院3日前より上腹部痛を認め,精査にて盲腸癌による腸重積症と診断された.腹部造影CT検査で明らかな腸管の血流障害は認めず,緊急大腸内視鏡検査を施行し,送気により腸重積を整復した.生検で粘液癌の診断となり,待機的に腹腔鏡下回盲部切除術(D3郭清)を施行した.病理学的検査所見は盲腸癌,pT2(MP)N0M0,pStageⅠであった.術後経過は良好であり,術後20カ月現在無再発生存中である.大腸癌による腸重積症の術前整復に一定の見解はないが,整復することで正確な術前診断に基づく適切な手術が可能となる.