2020 年 62 巻 8 号 p. 1496-1506
近年バルーン内視鏡検査は小腸疾患精査・治療には不可欠の手技となった.大腸挿入法との共通点も多いが,小腸挿入時における相違点も存在する.また複数回の開腹手術歴,放射線治療の既往,内臓脂肪型肥満の患者などは時に挿入困難例となり,スコープの選択,体位変換・用手圧迫などを駆使して挿入するが,膵炎などバルーン内視鏡特有の合併症に注意が必要である.オーバーチューブを利用する特殊な挿入であり,通常の上下部消化管内視鏡検査より煩雑であるが,その分,スコープとオーバーチューブとの相対的な位置の組み合わせによる腸管短縮にはバリエーションが存在する.常に今あるスコープの状態を把握して,スコープが進まない時はその理由を考えて,挿入法を補正しながら検査を行っていくことが小腸内視鏡挿入の最大の “コツ” と言える.