日本消化器内視鏡学会雑誌
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Linked Color Imagingは上部消化管腫瘍の拾い上げに有用である
岡 志郎
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2021 年 63 巻 1 号 p. 125

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【背景】画像強調内視鏡観察の1つであるLinked Color Imaging(LCI)による上部消化管腫瘍性病変の拾い上げ診断能に関する多施設前向きの大規模臨床研究はない.

【目的】LCIによる上部消化管(咽頭・食道・胃)腫瘍性病変の拾い上げ診断能を従来の白色光(White Light Imaging:WLI)と比較検討する.

【方法】2016年11月から2018年7月までに本邦19施設(大学病院16施設,がん専門病院3施設)において,20歳以上89歳までの消化管がんの既往または現在保有している患者を対象に,咽頭,食道,胃の各部位ごとにLCIで観察してからWLIで見直す群(LCI群)とWLIで観察してからLCIで見直す群(WLI群)のランダム化比較研究を実施した.主要解析項目は,WLI群とLCI群別の咽頭・食道・胃の腫瘍性病変の診断患者割合とし,副次解析項目として各群の見落とし率,病変の部位,形態,大きさ,腫瘍か非腫瘍かの確信度,観察時間について検討した.

【結果】最終的な解析対象は1,502人で,WLI群752人,LCI群750人であった.両群間で年齢,性別,手術既往の有無,担がんか否かに差を認めなかった.腫瘍性病変患者発見割合は,LCI群60人(66病変)/750人(8.0%)に対し,WLI群36人(37病変)/752人(4.8%)で,LCI群で有意に高い発見率であった(P=0.01,相対発見比1.67).各群でLCI/WLI観察を合わせた総合の診断割合は,LCI群65人71病変,WLI群60人63病変で,両群間で有意差を認めなかった.見落とし率はLCI群7.0%(5/71),WLI群41.3%(26/63)で,LCI群で有意に低かった(P<0.001).確信度の検討では,腫瘍性病変を強く疑う割合がLCI群86.4%(57/66),WLI群54.1%(20/37)で,LCI群で有意に高かった.検査時間は食道では両群間で有意差を認めなかったが,胃ではLCI群がWLI群に比べて16秒長かった.

【結語】上部消化管腫瘍性病変の拾い上げにはWLIよりLCIが優れていた.

《解説》

本邦における多施設共同前向きランダム化比較研究(LCI-Focused on Imaging for Neoplasm Detection in Upper GI tract:LCI-FIND trial)により,上部消化管腫瘍性病変の拾い上げ診断におけるLCIの有用性を明らかにした報告である.LCIはレーザー光を診断に応用した技術であり,赤色調をより赤く,白色調をより白くすることで腫瘍と正常部分のわずかな色調差をより強調し,遠景から明るい画像が得られることから,NBIと異なり胃のような広い管腔であっても病変の拾い上げ診断能を向上できることが大きな利点である.実際,咽頭・食道腫瘍性病変の拾い上げ診断にはNarrow Band Imaging(NBI)の有用性が報告されているが 2,胃腫瘍性病変の拾い上げに有用であるという報告はなかった.本研究結果から,上部消化管のスクリーニング内視鏡検査においてLCI観察を用いることで上部消化管腫瘍全般の見落とし病変が減少し早期発見症例が増加することで,上部消化管がん患者の予後向上に寄与することが期待される.ただし,本研究の限界として,今回の研究デザインがオープンラベル試験であること,上部消化管がんのハイリスク患者が対象であったこと,大学病院やがん専門病院のエキスパートの内視鏡医で施行されたことが挙げられる.今後は一般内視鏡医でも同様の結果が得られるかどうかについて検証していく必要はあるが,LCI観察は上部消化管内視鏡検査における拾い上げ診断に極めて有用なモダリティであることは疑いなく,今後LCIを用いた診断ストラテジーの構築が望まれる.

文 献
 
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