2021 年 63 巻 10 号 p. 2253-2275
日本消化器内視鏡学会は,ガイドライン委員会の下部組織としてワーキング委員会を設立し,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として,「クローン病小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術ガイドライン」を「小腸内視鏡診療ガイドライン」の追補として作成した.バルーン小腸内視鏡の登場により深部小腸での内視鏡治療が可能となり,外科的手術に代わる低侵襲治療として,クローン病小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術が近年普及しつつある.本ガイドラインでは,その標準的な方法について,バルーン内視鏡の挿入経路とそれに応じた腸管前処置,適応判断,偶発症,有効性,目標拡張径,拡張時間,狭窄多発例に対する対応,併用療法や代替治療の現状と,今後に残された課題をまとめた.