日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
総説
エビデンスに基づく消化性潰瘍の治療戦略
伊藤 公訓 佐藤 貴一
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 63 巻 12 号 p. 2433-2440

詳細
抄録

本邦における消化性潰瘍の2大要因は,H. pylori感染,およびNSAIDsなどの薬剤服用である.従って,前者に対してはH. pylori除菌治療が,後者に対しては薬剤服用中止が根本的な治療法になる.薬物治療ではプロトンポンプ阻害薬などの酸分泌抑制が重要な役割を演じることに異論の余地はないが,近年多くの臨床的エビデンスが蓄積されてきた.とりわけ,抗血栓薬服用者に対しての出血性潰瘍予防について多くの臨床研究結果が示されており,それらに基づく効果的な治療戦略の再構築が求められる.一方,特発性消化性潰瘍は近年報告例が増えており,有効な治療法確立が急務となっている.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top