2021 年 63 巻 2 号 p. 200-206
症例は60歳代の男性.健康診断でPSA上昇を指摘され,骨盤部MRI検査では悪性所見は認められず,左側骨盤内腫瘤を指摘された.諸検査では骨盤内腫瘤について診断に至らなかった.直視型コンベックス型超音波内視鏡を用い経大腸的に超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,組織診断より腺癌成分が検出された.細胞の形態から前立腺癌パターンと類似していたため前立腺生検を施行した.骨盤内腫瘤の生検病理標本と類似した組織が採取され,最終的に前立腺癌の骨盤内リンパ節転移と診断し得た.画像診断のみでは診断困難であった骨盤内腫瘤に対して,経大腸的に直視型超音波内視鏡下穿刺吸引法を行い,より低侵襲に病理組織学的診断に至ることができた.