要旨
欧米においては,1960~1970年代に食道腺癌の増加が始まり,1980~2000年代に急激に増加した.本邦においても,欧米より40~50年遅れて,2000~2010年代に食道腺癌の増加が始まったという報告が最近相次いでいる.食道腺癌の発生時期の欧米と本邦でのタイムラグは,H. pylori感染率の低下が始まった時期の違いと関連がある可能性がある.今後,本邦においても欧米で起こったような食道腺癌の急激な増加が起きうるかどうかは,重大な関心事である.現状では,日本人の胃酸分泌レベル,肥満の割合,食道腺癌罹患の人種差から,本邦においては,食道腺癌の急激な増加は起きにくい状況である.しかし,H. pylori感染率のさらなる低下から本邦における食道腺癌の発生は漸増していくものと考えられる.
Ⅰ はじめに
食道腺癌は,過去40~50年にわたり,欧米を中心に急速に増加し注目されてきた.アジア諸国では,バレット腺癌の明らかな増加は,まだ報告されていなかったが,本邦においては,食道腺癌の増加が最近相次いで報告されている.食道腺癌は,びらん性逆流性食道炎,バレット食道を経て発がんにいたる,いわゆる胃・食道逆流症(GERD:gastro-esophageal reflux disease)関連疾患シークエンスによって発生すると考えられている(Figure 1).GERDは,胸やけを主訴とし,罹病率が高い疾患で,多くの国で,一般人口の10~20%存在するとされている.GERDは,食道腺癌のリスクとなるほかに
1),その症状により,患者のQOLを低下させることから,多くが治療対象となる.本稿では,初めに諸外国でのこれまで食道腺癌の動向,そして,本邦におけるGERD,食道腺癌の最近の動向,その背景について概説する.
Ⅱ 諸外国の食道腺癌の動向
GERDシークエンスにおいて,びらん性逆流性食道炎,バレット食道,食道腺癌と順に発生すると考えられるため,各々の疾患の増加には,時間的なずれがある.欧米の例では,1930年ごろから逆流性食道炎,1950年からバレット食道,そして,1970年ごろから食道腺癌が増加し始めたと考えられている(Figure 2)
2).また,欧米のなかでも,食道腺癌の増加のタイミングは,地域で違いがみられ,まず,1960年ごろ英国で始まり,1970~1980年には,その他のヨーロッパ諸国,アメリカでも観察されるようになったと報告されている
3).その後,欧米諸外国では,1980~2000年に急激に食道腺癌が増加し,多くの国で,食道扁平上皮癌の件数を上回るようになった.例えば,アメリカのデータでは,1970年代半ばから,1990年にかけて食道腺癌の発生が4倍近くにも増加したと報告されている
4),5).その後2000~2010年には,増加のペースが鈍り,2020年には,欧米のいくつかの国で食道腺癌はプラトーに達していると推定されている
6).一方で,食道腺癌の増加は,欧米を中心に報告されているが,本邦以外のアジア諸国では,これまでのところ明らかな食道腺癌の増加は認められていない
7).
こうした欧米諸国での食道腺癌の急激な増加の背景として,何らかの環境要因が想定され,なかでもH. pylori感染率が低下,および,これに関連した上部消化管環境の変化が少なからず関与していると考えられている.この仮説においては,欧米で衛生環境の改善によって1900年初頭からH. pylori感染率は低下が始まり(1900年初頭生まれの症例で小児期のH. pylori感染率の低下が始まっており),こうした症例が,60~70歳になり癌の好発年齢を迎えて,1960~1970年に食道腺癌の増加が始まったとも想定されている(Figure 2)
2).一方,本邦を含むアジア諸国では,欧米に比べ,H. pylori感染率の低下が遅れて始まったことから,食道腺癌の増加も遅れて現れる可能性がある.
Ⅲ 本邦におけるGERD,バレット食道,食道腺癌の動向
Ⅲ-1.本邦のGERDの動向
本邦におけるGERDの動向として,Fujiwaraらが,1980~2005年までのGERDの有病率を集計し報告しており,GERDの有病率は,1990年代後半から著明に増加したことが示されている.そのなかで,本邦のGERDのなかで,びらん性逆流性食道炎が41%を占め,残りは食道にびらんを伴わないnon-erosive reflux disease(NERD)とされた.また,びらん性逆流性食道炎のなかでも87%がLos分類A,Bの軽症であり,本邦の逆流性食道炎は,軽症例が多いことが示された
8).それに引き続き,藤原は,2005~2015年のGERDの有病率のデータを加えて最新のGERDの動向を発表しており,1990年代後半よりGERD有病率は著明に増加したが,最近10年間(2005~2015年)では緩やかな増加に留まっていると報告している.また,びらん性逆流性食道炎の有病率も検討し,軽度増加している報告している
9).
Ⅲ-2.本邦のバレット食道の動向
バレット食道の診断は,国際的に統一されていない
10).本邦を除くすべての諸外国のガイドラインでは,バレット食道の診断に組織学的な腸上皮化生の証明,かつ/または,バレットの長さによる規定(1cm以上)が必要となっている
11).一方,本邦では,バレット食道の診断に組織学的規定,長さによる規定が不要で,内視鏡的に食道・胃接合部から食道側に伸びる円柱上皮を認めるのみで診断可能となっている
11).このように本邦でのバレット食道の診断は極めて簡便であるため,バレット食道の診断率には報告によって,著しい違いがある.本邦の胃・食道逆流症ガイドラインでは日本人のバレット食道の頻度の報告は,1.2~59.0%(平均17.9%)と大きなばらつきがあり
12),最新の報告でも,施設間でのバレット食道診断率は,17.2~96.8%と非常に大きなばらつきがあることが報告されている
12).
このように本邦でのバレット食道の診断率が施設間で著しい違いがあるため,本邦でのバレット食道全体の動向を知るのは難しい状況となっている.ただし,3cm以上のバレット食道などと厳密に定義されたものに関しては,その動向は,ある程度,検討可能である.島根県の健診施設からの2019~2020年5,061人のデータでは,5mm以上のバレット食道は,56.2%にみられるが,3cm以上のLSBE(long-segment Barrett’s esophagus)は,1例(0.02%)と極めて稀であると報告されており
13),これは,過去の報告と同等であり
11),本邦において,LSBEに関して言えば,明らかな増加傾向はみられないようである.しかし,本邦においては,LSBEは欧米と同様の高い発がん率があることが知られているが
14),15),その頻度が非常に稀であるため
11),13),食道腺癌全体の発生母地としてLSBEの占める割合は高くなく,これは,欧米の状況と対照的である.例えば,欧米での食道腺癌の発生母地として半数以上がLSBEとされているが
16),本邦での多施設研究の報告では,早期食道腺癌の発生母地として,LSBEは20%のみで,残りの約80%はSSBE由来とされている
17).よって,本邦でのLSBEの発生状況の動向から,食道腺癌の動向を予測することは難しい.今後,本邦での大多数を占めるより短いバレット食道からの発がんリスクを明らかにしていく必要がある.
Ⅲ-3.本邦での食道腺癌の動向
本邦における食道腺癌の増加傾向がいくつかのhigh volume centerから報告されているが
18),19),そうした施設には,症例が紹介され集積する傾向があり(紹介バイアス),また,そうした報告では内科側,または,外科側と偏った患者が対象となっており,癌全体としての動向を知るには,がん登録のデータが有用である.Shibataらは,1993~2001年の15カ所の地域がん登録データを集計し,この期間に食道腺癌の明らかな増加はみられなかったと報告している
20).しかし,最新の地域がん登録データ,および,学会の集計データを用いた解析で,本邦でのその後の食道腺癌の増加が,相次いで報告されている.
Koizumiらは,秋田県のがん診療拠点病院のデータを集積した院内がん登録データを用いて,食道癌全体に占める食道腺癌の割合を検討し,2010年ごろまでは,食道癌全体の1%程度であったが,2014年には,4%となり,食道腺癌増加の始まったと報告した(Figure 3)
21).次に,Matsunoらは,1985~2014年の30年にわたる大阪府のがん登録データを用い,2002年を分岐点として食道癌の増加が始まっていることを報告した
22).Nishiらは,日本食道学会の集計データを用いて,2000年までは,食道腺癌は食道癌全体の2%程度であったが,2010年には,6.5%に増加したと報告している
23).こうしたデータから,多少の地域差はあるものの,本邦においても2000~2010年ごろから食道腺癌の増加が始まったと考えられる.今後,全国がん登録の最終的な集計結果が待たれる.
本邦において食道腺癌の増加が始まったとして,次の重要なテーマは,今後,本邦においても欧米の状況のように食道腺癌が急激に(食道扁平上皮癌の件数を凌駕するほど)増加するであろうか?ということである
24).今後の本邦における食道腺癌の動向を予測するには,食道腺癌増加の要因を挙げ,それらの本邦と欧米との状況の違いを解析することが有用である.食道腺癌の増加と要因として,H. pylori感染率の低下,胃酸分泌の増加,肥満の増加が考えられている.また,欧米での状況を比較する際,人種差による影響も考慮する必要がある.
Ⅳ 食道腺癌増加の要因
Ⅳ-1.H. pylori感染率
びらん性逆流性食道炎,バレット食道(特にLSBE),食道腺癌は,いずれもH. pylori陰性者で発生しやすく,H. pylori感染は,GERD全体に保護的に作用していることが知られており
25),26),この傾向は,日本を含むアジア地域でより顕著である
26).この要因として,胃酸分泌レベルは,H. pylori感染によって様々に修飾されるが,本邦においては,H. pylori感染によって,大部分の症例で胃体部胃炎,萎縮性胃炎が惹起され,胃酸分泌が低下している(Figure 4)
27).これにより,逆流胃酸のpHも減弱し,食道の組織傷害が起きにくくなると考えられる
28)~30).前述のように,欧米におけるH. pylori感染率の低下とその後のびらん性逆流性食道炎,バレット食道,食道腺癌の推移をみた報告では,1900年初頭からH. pylori感染率が低下し,その後,1930年ごろから,逆流性食道炎,1950年から,バレット食道,1970年ごろから食道腺癌が増加し始めたと報告されている(Figure 2)
2).本邦においては,H. pylori感染率の低下は,1950年代の戦後の衛生状態の改善によって始まっており
31),すなわち,H. pylori感染率の低下は,アメリカに比べ50年遅れていると考えられる.よって,アメリカでH. pylori感染率の低下と,その後の食道腺癌の増加とのラグタイムを勘案すると,本邦での食道腺癌の本格的な増加は,2010~2020年ごろに現れると考えられ,本邦での最近の食道腺癌のデータと符合する
21)~23). H. pylori除菌によって,低下していた酸分泌が回復し
32),33),その結果,発生率が抑えられていた逆流性食道炎が発生しやすくなることはよく知られている
34),35).最近の報告でもAdachiらは,2016~2018年の島根県の健診受診者8,123名を対象にした検討で,H. pylori陰性例,H. pylori陽性例,除菌後例でのびらん性逆流性食道炎の頻度が,各々,14.0%,3.7%,10.1%であり,除菌後例では,H. pylori陰性例と近いレベルまで,逆流性食道炎の頻度が上昇していることを報告している
36).さらに除菌後のびらん性逆流性食道炎の頻度は,除菌後の経過年数が増えるにつれて増加すると報告している
36).

除菌後,逆流性食道炎は増えるとして,その後のバレット食道,食道腺癌も増えるであろうか.最近のスウェーデンからの2005~2012年のデータベースを用いた80,000例を対象にしたコホート研究では,除菌後に,バレット食道,食道腺癌が増加している形跡はみられなかったとされている
37).しかしながら,歴史的にH. pylori感染率が低下してから食道腺癌が増加するまでに数十年の経過を要していることを考えると
2),除菌後さらに長期での検討が必要と考えられる.かつ除菌後の生命予後を考えると若年~中年者での除菌後の長期経過観察が必要である.
H. pyloriによるGERD抑制効果は,本邦を含むアジア地域で強いことから
26),除菌後の食道腺癌の発生に関しては本邦での検討が必要である.本邦における除菌後に発生した食道腺癌に関しては症例報告が散見される
38),39).最近のTakeらの報告では,2,737人の除菌症例を平均7.1年経過観察し,食道扁平上皮癌が7例,食道腺癌が2例みられたと報告されている
39).除菌後の食道腺癌の推移に関しては,本邦でも今後の症例集積が待たれる.
Ⅳ-2.胃酸分泌
胃酸は,食道内に逆流することによりGERDによる食道粘膜傷害,それに続く,バレット食道,食道腺癌発生の大きな要因になっている
28)~30).胃酸分泌は,H. pylori感染によって,増加,不変,低下(本邦では,大部分が低下)と修飾されるが
27),32),33),H. pyloriが未感染の状態での固有の胃酸分泌レベルは,人種間に差があり,また経年的にも変化していることが知られている.人種間では,胃酸分泌は,欧米人で高く,本邦を含むアジア人で低いことが知られており
40),このことは,本邦では,欧米に比べ重症のびらん性逆流性食道炎が少ないことに関連していると考えられる
8).また,経年的変化に関しては,日本人での胃酸分泌レベルについて,Kinoshitaらは,1970~1990年には,H. pyloriの感染の有無にかかわらず増加していることを示している
41).これは,カロリー摂取量の増加,蛋白摂取量の増加など食生活の変化との関連が示唆されている
41).その後の,Iijimaらは,1990~2010年にかけての日本人の胃酸分泌に関しては,H. pylori陰性者では,H. pylori陽性者に比べ,常に高い酸分泌を有しているが,経年的には同レベルであり,日本人固有の胃酸分泌能は,さらなる増加は認められなかったと報告されている(Figure 5)(注:日本人のH. pylori感染率の低下により,胃酸分泌は総体としては増加している)(Figure 6)
40).同様に,Ishimuraらは,1990~2010年の日本人の胃酸分泌レベルは経年的に変化がなかったとしている
42).これらの結果より,日本人固有の胃酸分泌のレベルは,1970~1990年には増加したが,その後,1990~2010年には変化がなく,現時点でも欧米人に比べ,かなり低いレベルの状態である
40).この胃酸分泌に関する状況からは,本邦において,H. pylori感染率の低下による食道腺癌の増加が始まっているが,欧米のように今後,急激に増加するような状態は考えにくい.ただし,日本人若年者での検討では,胃酸分泌が漸増を続けているとの報告もあり
43),さらに経年的変化を検討していく必要がある.
Ⅳ-3.肥満
肥満と逆流性食道炎,バレット食道,食道腺癌との関連は,欧米では広く認識されており
44),45),特に皮下脂肪より内臓脂肪と関連があるとされている
46),47).欧米で1950~1970年に増え始めた食道腺癌が,1980年代に始まった肥満の増加によって,さらに急激に増加したと解釈可能である
48).肥満は,内臓脂肪の蓄積による腹圧上昇を介し,局所的な食道・胃逆流を増加させる機序のほかに,脂肪細胞から分泌されるホルモン,炎症性サイトカインが,食道組織に作用する機序が考えられる
47),48).
本邦においても,逆流性食道炎と肥満との関連は複数の研究で確認されている
49)~51).次に,バレット食道と肥満の関連に関しては,種々の報告があるものの
52),53),特にLSBEに対象を絞った場合では,バレット食道と肥満との関連性が認められている
54),55).そして,本邦における食道腺癌と肥満の関連に関しては,症例数が少なく
56),まだ一定の結論がなされていない.
このように肥満とGERDとの関連は,本邦でもある程度,確立していることから,本邦と欧米の肥満の状況を比較することで,本邦での食道腺癌の発生状況を一部予測することが可能である.アメリカの肥満の割合は1980年ごろから急激に増加し,最近では,男性でBMI:25以上は,全人口の80%近く,BMI:30以上は,30~40%を占めるとされている
57).一方,本邦においても肥満は増加しているものの,欧米に比べその程度は軽度で,男性でBMI:25以上が30%程度,BMI:30以上は,数パーセントのみである
58).この状況からは,欧米でみられた肥満に関連した食道腺癌の急激な増加は,本邦では起きにくいように考えられる.ただし,日本人においては,欧米人に比べ,低いBMIでも種々の肥満関連疾患になりやすいことが知られており
59),60),肥満とバレット腺癌の発生状況を欧米と本邦で単純に比較することは,注意が必要である.
Ⅳ-4.人種間での違い
米国における食道腺癌の発生には人種差があり,非ヒスパニック系白人で高く,黒人,アジア系で低いと報告されている
61),62).この人種による発がんリスクの違いは,GERDシークエンスの初期の段階からみられ,白人,黒人,アジア人で胸やけ症状の頻度は変わらないが,白人では,びらん性逆流性食道炎の罹患率が高いと報告されている
63),64).このように,GERD初期の食道粘膜傷害発生の違いが,最終的な人種間の発がんリスクの違いに関連している可能性がある.最近の研究では,黒人の食道では,非ヒスパニック系白人に比べ,細胞障害性ラジカルに対する解毒作用を担うグルタチオンS-トランスフェラーゼが豊富に発現しており,傷害物質による食道の粘膜傷害に対する保護作用を有していることが報告されている
65).こうしたデータからは,欧米の白人でみられたような食道腺癌の急激な増加は,本邦で起きにくいことが予想される.
Ⅴ まとめ
欧米の状況と40~50年遅れて,本邦においても2000~2010年ごろから,食道腺癌の増加が始まったという報告が相次いでいる.この増加の要因として,本邦において,欧米より50年遅れて始まったH. pylori感染率の低下が一因として考えられる.ただし,日本人の胃酸分泌レベルは欧米人に比べ低いこと,日本人の肥満の割合は欧米人に比べ高くないこと,および,食道腺癌の発生は,白人に比べアジア人種で低いことなどから,欧米でみられたような食道腺癌の急激な増加は本邦では起きにくい状況にあると考えられる.しかしながら,本邦におけるH. pylori感染率の減少に伴って,今後も食道腺癌は漸増していくことが予想される.
胃癌の多い本邦においては,現在,胃癌検診として,2年に1回の胃内視鏡検診が推奨されており,そのときに,食道腺癌の早期発見も可能な状況となっている.しかし,本邦におけるH. pylori感染率の低下により,今後20年で胃癌の発生は激減し,稀な癌となることが予想されており,早期胃癌発見を目的とした胃内視鏡検診の存続も危ぶまれる.そうした状況下では,欧米で行われてるように,本邦においても食道腺癌の早期発見を目指した適切なサーベイランスを構築していく必要がある.そのためには,現在,施設間で大きく診断率が大きく異なっているバレット食道の定義に何らかの規定を設けて,適切な対象を絞り込む必要がある.なかでも,本邦においてバレット食道の大部分を占める1cm以下の短いタイプのバレット食道(ultra-short segment Barrett’s esophagus)の発がん率を明らかにし,サーベイランスの対象に加えるべきか,否かは,喫緊の重要な課題である.
本論文内容に関連する著者の利益相反:飯島克則(第一三共,武田薬品,アストラゼネカ,大塚製薬)
文 献
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