2021 年 63 巻 8 号 p. 1560
【背景と目的】膵嚢胞液の分子学的解析は嚢胞の鑑別診断に有用であるが依然として変動的である.そこで膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)および粘液性嚢胞性病変(MCLs)の診断におけるEUS下採取膵嚢胞液を用いたKRASおよびGNAS遺伝子解析の診断性能を評価するためシステマティックレビューとメタアナリシスを施行した.
【方法】各々の論文検索はPRISMA,MOOSE,コクランDTAといった手法に基づき行われた.95%CIとサマリーポイントを含めたサマリーROCのプロットのためには2変量モデルを用いて統合感度および統合特異度の計算を行った.
【結果】6つの研究(785病変)が解析に含まれた.IPMNおよびMCLs診断において,KRAS+GNAS(組み合わせ)の遺伝子解析は,KRAS単独およびGNAS単独よりも高い精度(P<0.001)を有していた.またIPMN診断におけるKRAS+GNAS変異は感度,特異度,および精度においてそれぞれ94%(95% CI,72-99;I2=86.74%),91%(95% CI,72-98;I2=89.83),97%(95% CI,95-98)であり,CEAのみと比較して有意に高値であった(P<0.001).MCLs診断に関してはKRAS+GNAS遺伝子解析はCEAのみと比較して同様の感度と特異度であったが精度は有意に改善された(97%[95% CI,95-98] vs 89%[95% CI,86-91];P<0.001).
【結論】IPMNおよびMCLs診断におけるEUS下採取膵嚢胞液を用いたKRAS+GNAS遺伝子解析は,CEA単独と比較し高い感度と特異度を有し,かつ精度を有意に改善した.