要旨
【背景】小腸カプセル内視鏡(SBCE)やバルーン内視鏡(BAE)といった小腸内視鏡は小腸出血(SBB)の診療において有用である.しかしながら,特に顕性小腸出血(overt SBB)に対するマネジメント方法は未だ確立されていない.本メタ解析は,overt SBB診療における小腸内視鏡の統合された診断能(DYs)と統合された治療能(TYs)を評価し,内視鏡の適切なタイミングを決定することを目的とした.
【方法】Overt SBBにおける小腸内視鏡のDYまたはTYを評価した研究を検索した.DY,TY,内視鏡のタイミングに関するデータが抽出され,統合そして解析された.Overt SBB患者における小腸内視鏡の統合されたDYと統合されたTYが算出された.さらにメタ回帰分析とサブグループ解析が行われた.
【結果】22個の研究が選択された.統合されたDYはSBCEとBAEでそれぞれ65.2%,74.0%であった.統合されたTYはSBCEとBAEでそれぞれ55.9%,35.8%であった.メタ回帰分析では,内視鏡のタイミングがBAEのDY,さらにSBCEとBAEのTYと有意に関連していた.
【結論】SBCEとBAEはovert SBB診療において有用な診断と治療のモダリティと思われた.サブグループ解析ではSBCEとBAEのTYは出血後2日以内でより高い傾向にあり,適切な内視鏡のタイミングは出血後2日以内と考えられた.
Ⅰ 緒 言
原因不明消化管出血は,従来,古典的な上下部消化管内視鏡検査後も持続または再発する出血源不明の消化管出血と定義されてきた
1).最近では,小腸の画像診断が進歩したことから,用語を小腸出血(SBB)へ再分類するべきであると新しいガイドラインで提唱されている
2).SBBはさらに,繰り返す鉄欠乏性貧血または便潜血陽性としてみられる潜在性小腸出血(occult SBB)と,肉眼的出血を伴う顕性小腸出血(overt SBB)に分類される
1),2).Overt SBB患者は重大な病変を有している可能性があり,その結果再出血をきたしやすく,活動性出血と関連したより高い致死率を有している
3).それ故に,overt SBB患者に対する最適なマネジメント戦略を研究することは,予後を改善させる観点において重要である.小腸カプセル内視鏡(SBCE)と,シングルバルーン内視鏡(SBE)やダブルバルーン内視鏡(DBE)を含むバルーン内視鏡(BAE)はSBBのマネジメントにおいてよく確立された手法である
4),5).これまでにもSBCEとDBEはいずれも同様の高い診断能(diagnostic yields:DYs)を有していることがいくつかのメタ解析で報告されてきた
6)~8).しかしながら,それらの中にはovert SBBとoccult SBBの両者を検討した研究が含まれている.SBCEはSBB患者を侵襲なく評価することが可能で,高い診断能を有しており
9),10),BAEの挿入経路の選択や,検査後にBAEを施行するべきかどうかを決定することにおいて有用である
11).しかし,SBCEはBAEとは異なり,治療処置ができず,解析に時間を要するため,その役割は限定的である.緊急小腸内視鏡に関しては,SBCEとDBEともに活動性出血を伴うovert SBB患者に対して高い診断能を有し,その患者マネジメントに大きな影響をもたらすことがいくつかの研究で報告されてきたが
12)~15),それらの報告はサンプルサイズが小さいか,後方視的な研究であるため緊急内視鏡の有用性に関しては未だに確立されていない.いくつかのガイドラインにおいて
2)~4),SBCEはSBBにおける第一選択として推奨されてきたが,特に大量出血を伴う患者において,どのモダリティを第一選択とすることが望ましいかについては確立されていない.内視鏡に加えて,CT enterographyやCT angiography,シンチグラフィ,そして血管造影検査を含めた放射線画像診断もまた,SBBのマネジメントに有用であると報告されている
16)~19).CT enterographyは小腸の腫瘤に対してSBCEより高い診断能を有すると報告されている
20).急性の顕性出血において,古典的血管造影,CT angiography,そしてシンチグラフィもまた有用なモダリティであると報告されている
17)~19).一方で,SBCEは血管性病変や炎症性病変に対してCT angiographyより高い検出能を有していると報告されている
21).さらには,緊急SBCEは血管造影よりも高いDYを有しているとの報告がある
22).これらの事実を踏まえると,特にovert SBB患者に対する最良のマネジメント戦略は未だ確立されてはいない.SBB患者においては,SBCEもBAEも早期に行うことでより優れたDYが得られるため,欧州消化器内視鏡学会(ESGE)のガイドラインでは,最大限のDYを得るためにできる限り出血から早期にSBCEまたはBAEを行うことを推奨しており,SBCEに関しては出血から14日以内が適切としている
4).しかしながら,BAEの適切なタイミングは不明瞭である.さらには,SBCEのDYを改善することが必ずしもSBBの予後を改善させることにはつながらないとも報告されており
23),特にovert SBBにおける適切な内視鏡の使用方法を確立するためには,治療能(therapeutic yields:TYs)も考慮するべきである.本システマティックレビューとメタ解析は,overt SBB患者における小腸内視鏡の統合されたDYsと統合されたTYsを評価し,小腸内視鏡のタイミングと内視鏡のDYsとTYsの関係を探索することを目的とした.
Ⅱ 方 法
研究のデザイン
本研究はovert SBB患者における小腸内視鏡のDYとTYに関するシステマティックレビューとメタ解析である.
プロトコルと登録
本研究のプロトコルはInternational Prospective Register of Systematic Reviews(PROSPERO)に登録してから行われ(ID:CRD42019139416),the Preferred Reporting Items for Systematic review and Meta-Analysis(PRISMA) statementに準じて行われた
24).
情報源と検索方法
2019年4月の時点でPubMed,Web of Science,the Cochrane Central Register of Controlled Trialsを用いて,言語による制限は行わずに,overt SBB患者における小腸内視鏡のDYまたはTYを研究している文献を検索した.検索方法の詳細は補足資料(電子付録)に記述されている.研究選択の決定は二人の著者(G.U.とM.N.)が行い,決定が一致しなかった場合には二人の著者の協議によって決定をした.研究の選択に関するダイアグラムはFigure 1に図示されている.
選択基準
以下の基準を満たす研究をメタ解析へ含める候補とした:(a)overt SBBにおける小腸内視鏡のDYsまたはTYsを報告している研究,(b)小腸内視鏡のDYをSaurinの分類
25)におけるP2病変に相当する,臨床的に有意な所見の検出率として定義している研究,(c)小腸内視鏡をSBCEまたはBAEとして定義している研究,(d)SBBをthe American College of Gastroenterology Clinical Guideline
2)に準じて定義している研究.以下の基準を満たす研究は除外した:(a)小腸内視鏡で臨床的に有意な病変が検出される検査前確率が極めて高いと考えられる患者が含まれている研究,(b)原著以外の研究(例として,症例報告,letter to the editor,会議録),(c)英語で出版されていない研究.
データ収集
二人の審査者(G.U.とM.N.)が独立に標準化したフォームへデータを抽出した.以下の特徴に関するデータを抽出した:(a)研究の特徴:筆頭著者,出版年,研究が行われた地域,研究デザイン;(b)患者の特徴:年齢,輸血の必要性;(c)小腸内視鏡の特徴:SBCEの種類,BAEの種類;(d)アウトカムの評価:SBCE陽性所見の定義,小腸内視鏡検査が行われた総患者数,関心のあるアウトカムを達成した割合,小腸内視鏡が行われたタイミング.
評価項目
主要評価項目はovert SBB患者における小腸内視鏡のDYとTYとした.副次評価項目はovert SBB患者における小腸内視鏡のDYやTYと小腸内視鏡のタイミングの関係を評価することとした.小腸内視鏡のDYは臨床的に有意な所見が検出された割合と定義した.それぞれの研究の筆者によって決定された出血源と考えられる所見を有意な所見と定義した.SBCEのTYはそれぞれの研究の筆者によって決定された治療を受けたものの割合と定義した.SBCEのTYに関する定義が記載されていない場合には,内視鏡所見に基づいて行われた薬物,内視鏡,放射線または手術治療といった連続的な治療を受けた患者の割合をTYとして算出した.小腸内視鏡のタイミングがDYとTYに与える影響を評価するために,最終出血と小腸内視鏡の間の期間を活動期,24時間以内,48時間以内,72時間以内,14日以内,14日以降へ分割した.最終出血のタイミングが不明の場合は,入院や出血の発症または上下部消化管内視鏡といった古典的内視鏡の施行から小腸内視鏡までの期間が使用された.
選択された研究のバイアスリスクの評価
二人の研究調査者(G.U.とM.N.)が独立して,the Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studies(QUADAS)2スケール
26)を用いて個々の研究のバイアスリスクを評価した.その4つのドメインは,患者選択,指標検査,参照基準そしてフローとタイミングから成り立っている.懸案事項のバイアスリスクと妥当性は個々の研究において決定され,「low」,「high」または「unclear」へと等級分けされた.今回のメタ解析は参照基準と比較した検査精度の代わりにDYを評価したため,参照基準に関するいくつかの項目は適応されなかった.
統計学的解析
Overt SBB患者における小腸内視鏡の統合されたDYと統合されたTYは適宜ランダムエフェクトモデルを用いて評価され
27),研究間のばらつきを説明するために保守的アプローチが用いられた.有病率のメタ解析においては,研究の推定量が0%または100%に向かう傾向がある際に,その研究の分散は0へ向かってずれこみ,結果としてその加重がメタ解析において過大評価される.それ故,われわれは二重逆正弦変換を用いてメタ解析を行い,統合有病率を報告するために逆変換を行った
28).われわれはQ検定と非一貫性(I
2)検定を用いて統計学的異質性を評価し,p<0.10とI
2値>50%を有意に異質であるとした
29).選択された研究間の異質性の原因を決定するためにメタ回帰分析が行われた.それぞれの調節因子におけるオムニバス(QM)検定が行われ,モデル簡略化の基礎として使用された
30).さらに,DYとTYは内視鏡のタイミングと関連していることがいくつかの研究で報告されているため
31)~33),メタ回帰分析の結果に関わらず,内視鏡のタイミングに基づいたサブグループ解析が,それがDYとTYに与える影響を調べるために行われた.われわれは出版バイアスをファンネルプロットの対称性評価とEggerの回帰検定
34)を行うことで評価した.すべての解析は“meta”と“metaphor”パッケージを実装したR version 3.3.2.(Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria)を用いて行われた.
Ⅲ 結 果
研究の絞り込み
検索手法を用いて同定された1,058個の研究から,22個の研究
12),15),22),31),35)~50)をメタ解析に含めた(Figure 1).実際には,23個の研究が本システマティックレビューの対象基準に適合していたが,これらの研究のうちの1個の研究
51)では,長期にわたる重度の消化管出血歴があり,以前の手法では出血源が同定されておらず,緊急で行われたリアルタイムのSBCEで活動性出血が検出された場合にのみDBEが施行された限定的な患者が対象とされていたためメタ解析から除外された.
選択された研究の特徴
メタ解析に選択された研究がTable 1に要約されている.総じて,登録された患者総数は1,907人であった.19個の研究
12),15),22),31),32),35)~48)がSBCEを評価し,4個の研究
15),33),49),50)がBAE(2個の研究
15),33)がDBE,2個の研究
49),50)がSBE)を評価していた.SBCEのDYとTYはそれぞれ,19個の研究
12),15),22),31),32),35)~48)と7個の研究
12),15),37),38),40),45),48)で評価されていた.BAEのDYとTYはそれぞれ,4個の研究
15),33),49),50)と3個の研究
15),49),50)で評価されていた.
結果の統合
SBCEの診断能
SBCEにおける有意な所見の統合されたDYは65.2%(95% CI 58.9%-71.2%)であった.SBCEのDYをフォレストプロットへ示す(Figure 2).DYに関して重大な研究間異質性が存在した(I
2=81%,p<0.000001).
BAEの診断能
BAEの統合されたDYは74.0%(95%CI 62.3%-84.3%)であった.BAEのDYをフォレストプロットへ示す(Figure 3).重大な研究間異質性が存在した(I
2=84.4%,p=0.000244).
SBCEの治療能
SBCEの統合されたTYは55.9%(95% CI 44.3%-67.1%)であった.SBCEのTYをフォレストプロットへ示す(Figure 4).重大な研究間異質性が存在した(I
2=78.9%,p<0.000076).
BAEの治療能
BAEの統合されたTYは35.8%(95% CI 30.6%-41.2%)(I
2=0%,p=0.559437)であった.BAEのTYをフォレストプロットへ示す(Figure 5).
副次評価項目
小腸内視鏡のタイミング
内視鏡のタイミングに基づいたサブグループ解析の結果をFigure 6,7,8,9へ示す.
メタ回帰分析
SBCEの診断能
メタ回帰に選択された共変量は,研究デザイン,出血の重症度,SBCEのタイミングであった.メタ回帰分析では,有意な修飾因子の存在は示されなかった(Table 2).
BAEの診断能
メタ回帰に選択された共変量は研究デザイン,SBCEがBAEの前に行われたか否か,出血の重症度,BAEの種類(DBEまたはSBE),そしてBAEのタイミングであった.メタ回帰分析では,BAEの種類とBAEのタイミングが有意な修飾因子であった(修飾因子のQM検定:BAEの種類:QM=18.8,p<0.0001;BAEのタイミング:QM=21.3,p=0.0003)(Table 2,Figure 10).
SBCEの治療能
メタ回帰に選択された共変量は研究デザイン,出血の重症度,そしてSBCEのタイミングであった.メタ回帰分析では,SBCEのタイミングがSBCEのTYの有意な修飾因子であった(修飾因子のQM検定:QM=15.1,p=0.0045)(Table 2,Figure 10).
BAEの治療能
研究デザイン,SBCEがBAEの前に行われたか否か,出血の重症度,BAEの種類,そしてBAEのタイミングが共変量として選択されたメタ回帰分析が行われた.その結果ではBAEのタイミングが有意な修飾因子であった(修飾因子のQM検定:QM=6.33,p=0.0422)(Table 2,Figure 10).
バイアスリスク
QUADAS 2ツールを用いた,選択された研究の質評価がFigure 11に示されている.研究は全般的に低いバイアスリスクを有し良好な質であった.選択された研究内の小腸内視鏡所見の定義には研究間でばらつきがあった(Table 3).従って,SBCEの陽性所見の定義の差はバイアスの原因となる可能性がある.加えて,各々の研究においてSBCEにおけるTYの定義(Table 4)や患者の重症度(Table 5),そして出血と小腸内視鏡間の間隔における開始点(Table 6)に違いがあったため,これらもまたわれわれの解析結果にバイアスを生じる可能性がある.さらには,2個の研究
33),49)において,SBCEはBAEより先に行われており,SBCEの結果は盲検化されていなかった.それ故,BAEの産出能はSBCEを先に行うことにより上昇することから
52),BAEの産出能には選択バイアスや検出バイアスもまた存在し得る.
出版バイアス評価
それぞれの解析に含まれた研究数が少なすぎるため,出版バイアスを評価するために利用できる手法を信頼可能とすることはできなかったが,小腸内視鏡のDYとTYに関する出版バイアスの証拠は見つけられなかった(Figure 12).
Ⅳ 考 察
本研究は,overt SBBに特異的に小腸内視鏡のDYとTYを評価した最初のシステマティックレビューとメタ解析である.さらに,本メタ解析では,DYのみではなくTYにも基づいた適切な小腸内視鏡のタイミングが研究された.
今回の研究では,DYについてはSBCEで65.2%,BAEで74.0%であり,TYについてはSBCEで55.9%,BAEで35.8%であることが示された.SBCEとBAEのDYとSBCEのTYはovert SBBにおいても申し分ないものと思われた.今回の研究において,BAEのTYはSBCEと比べて低く見えた.しかし,BAEは生検や点墨といった診断能力を持っているため,BAEは内視鏡治療のみならず,臨床医が患者に対して適切な薬物治療や手術の準備を行う際の一助となる等,さらなる治療的影響を有している
2).従って,BAEもまたovert SBBにおいて有用なモダリティとなり得る.本研究におけるSBCEとBAEのDYとTYは,SBCEのDYについては統計学的に有意ではなかったものの,既報のように
48),53),メタ回帰分析において内視鏡が遅れるにつれて減少する傾向にあった.出血から14日以降と14日以内におけるBAEのTYに関するデータは利用できなかったものの,サブグループ解析によると,SBCEとBAEのDYは出血から14日以内に,TYについては2日以内にそれらが施行された場合には申し分ないものと思われた.小腸内視鏡の適切なタイミングをDYに基づいて考える場合,ESGEのガイドラインで推奨されているように
4),SBCEとBAEの両者は出血から14日以内に施行されることが推奨される.しかしながら,TYを考慮するとSBCEとBAEに関する内視鏡の適切なタイミングは出血から2日以内と思われた.SBCEによるリアルタイム観察と緊急DBEを組み合わせることがデュラフォイ病変のような非緊急DBEで容易に見逃されてしまう可能性がある血管性病変を同定する際に有用であったとする報告がある
51).BAEのTYが出血から2日以内でより高いことを考慮すると,そのような工夫をすることで,BAEは出血から2日以内に行われるべきと考えられ,SBCEはより広く利用可能で非侵襲的であることから,第一選択としてのSBCEの後に行われるべきである.われわれのメタ回帰分析では,SBEとDBEの性能は同等であるとする過去の報告
54),55)に反してBAEの種類がBAEのDYと有意に関連していた.さらには,SBCEのDYにおけるメタ回帰分析に選択された共変量には有意な修飾因子が認められなかった.しかしながら,メタ回帰分析に含められた研究数があまりに少ないため,その有意な因子を同定するための統計学的検出力は限定的であった
56),57).さらには,同定されていない因子がサブグループ間の効果量の差の原因となっている可能性があるため,メタ回帰分析やサブグループ解析といった修飾因子解析の結果を因果関係の根拠として解釈することはできない.それ故,これらの結果にはバイアスがかけられている可能性があり,これらの結果を確認するためにはさらなる前向き対照研究が必要である.SBCEとBAEは治療能や禁忌,侵襲度といったそれらの性質によって相補的であるため,実臨床では,臨床医は費用
58)やSBCEの滞留リスク,患者が外科手術後の再建腸管を持っているかどうか,疾患の重症度,治療内視鏡の専門家が待機しているかどうか,そして各々の病院でどのモダリティを緊急的に利用することができるかといった様々な因子を考える必要がある.従って,その戦略は,特に緊急内視鏡がしばしば必要とされる顕性出血を有する症例においては各施設で確立されるべきである.本研究にはいくつかの限界が存在する可能性がある.この研究では,I
2値に示されているように,研究間に重大な異質性が見いだされた.われわれはメタ回帰分析を行ったが,異質性は完全には制御されなかった.小腸内視鏡の,特に血管性病変に対する陽性所見の定義やTYの定義,患者の重症度といった手技の状況,そして出血と小腸内視鏡の間隔における開始点に差異が存在したため,われわれの研究の結果はそのような臨床的異質性により限定的なものとなり得る.本研究では,BAEの産出能を研究している症例のほとんどで
33),49),SBCEがBAEの前に行われており,そしてその所見は盲検化されていなかったため,BAEのDYはBAEが出血から14日以降で施行された場合にSBCEと比べて高いように見えるものの,BAEの産生能が過大評価された可能性がある.さらには,各サブグループ解析のサンプルサイズがあまりに小さいため,その有効性が有意であるかどうかを確定することはできない.それにも関わらず,特にovert SBBにおける小腸内視鏡の産生能と陽性所見を予測する臨床因子を研究することは,臨床医がovert SBB患者の適切なマネジメント方法を決定するための手助けとなるため,われわれは本研究の結果が有用なものであると信じている.
Ⅴ 結 論
要約すると,SBCEとBAEの両者はovert SBBにおいて有用な診断そして治療モダリティと考えられる.TYを考慮すると,適切な内視鏡のタイミングは出血から2日以内と考えられた.しかしながら,これらの推奨を確定するにはさらなる前向き研究が必要である.
本論文内容に関連する著者の利益相反:なし
補足資料
Appendix S1 検索方法の詳細.
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